数メートルはある巨大な独島ジオラマ
約2倍に拡張移転した「独島体験館」
今月13日、ASEAN首脳会議が開かれているカンボジアで、3年ぶりとなる日韓トップの会談が行われた。岸田文雄総理と尹錫悦大統領は、懸案となっている徴用工問題について早期解決を目指すことで一致。また、北朝鮮の脅威に関して、日米韓の連携を強めていくことで合意し、固い握手を交わした。対日外交を重視する尹政権の登場によって、日韓関係の改善が期待されている。
しかし、現地韓国では、相も変わらず……という光景も見られるようだ。
先月25日、とある“抗日”教育施設がソウル市内にリニューアルオープンした。
その名は「独島体験館」。韓国が不法占拠している竹島に関する施設だ。以前はソウルの別の場所に開設されていたが、このたび韓国最大規模のショッピングモールへ、約2倍の広さに拡張移転した。
竹島問題に詳しい拓殖大学の下條正男教授に解説していただこう。
「韓国政府の管轄下にある東北アジア歴史財団により、2012年に開館。07年に島根県が設置した竹島資料室に対抗する形でできました」
偽りの歴史を次世代に
現地を訪れてみると、竹島に関する昔の地図や史料が多数展示され、歴史的に韓国領土であるとの証拠として並ぶ。
ところが、と下條教授は指摘する。
「いずれも、韓国側の主張に都合のいい史料しか展示されていません」
また、硬い内容だけではなく、アニメーションやARを使ったタッチパネルなど、明らかに子供向けの工夫が施されている。それはなぜか。
「そもそも、独島体験館は校外学習などで子供たちが訪れることを目的とした教育施設です。今回のリニューアルにより立地も良くなり、親しみやすくなりました。韓国は現在、同様の施設を国内に17カ所作っています。次の世代に、偽りの歴史を植え付けようとしているのです」(同)
日韓首脳会談で、両首脳は北朝鮮を安全保障上の重大な脅威としたうえで、「日韓、日韓米で緊密に連携していくことを確認」したという。
日韓の摩擦を大きくするだけのこのような施設を拡張していくことが、「連携」に貢献すると彼らは考えているのだろうか。
撮影・高岩万紗
「週刊新潮」2022年11月24日号 掲載