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【検証】部屋が寒すぎる……すると人体はどうなるのか
ジェイムズ・ギャラガー、BBC健康・科学担当編集委員
「死ぬほど寒い」と言われると、私はひげからつららが伸びたホッキョクグマや、エヴェレスト登頂を目指す登山家を思う。凍傷で指が黒くなったり、凍えて低体温症になったりと、そういうことを思う。
なので、たかだか摂氏10度で寒さ実験を体験してみないかと言われても、半信半疑だった。そう、たかが10度で。
私に言わせれば、10度など大したことはない。ものすごい寒いというわけでもないし、北極の極寒とはわけが違う。体に負担がかかるほどの寒さといえば、もっとはるかに寒いはずだ。そうでしょう?
そうではなかった。
「それほど寒そうには聞こえないけれども、生理学的には、本当に体に負担になっている」のだと、英サウスウェールズ大学のデミアン・ベイリー教授は話す。
住んでいる家が寒いと、体にどう影響するのか。そして10度などという、それほど寒くなさそうな気温でも、なぜ命にかかわることがあるのか。それを探るため、ベイリー教授は実験室に招き入れてくれた。
「暖房代が払えない人の家の平均気温が、摂氏10度」なのだと、ベイリー教授は言う。
そして10度というのは心臓と肺と脳に、多大な影響を及ぼす。それを私は身をもって知ることになる。
実験室の隅にある環境制御室に連れて行かれる。金属の壁がぴかぴかしていて、ドアは重くて分厚い。密閉されたこの部屋で、研究者は気温や湿度や酸素レベルを細かく設定できる。
私はまず21度の温かい風を浴びる。この実験は、気温を21度から10度まで下げていき、私の体の反応を計測するというものだ。
ありとあらゆる最先端機器が、体に取り付けられる。自分の体がこれほど精密に分析されるのは、初めてだ。
私の体温、心拍数、血圧を常時計測するため、胸や腕や脚のあちこちにモニターがつながれる。
「スター・ウォーズに出てくる何かみたいだ」と、ベイリー教授は言う。私の体についたセンサーやケーブルは、次々と増えていく。
額にじんわり汗をかき始めたころ、脳への血流をモニターするヘッドセットが頭に取り付けられる。超音波で首の頸動脈の様子を点検する(動脈がリズミカルに私の脳に血を、どくんどくんと流し込んでいる。その音に妙に安心させられた)。そして、私が巨大なチューブの中に息を吐くと、呼気の内容が分析される。
何も好きこのんでこういう服装をしているわけではない。実験のため私の肌に直接、機器を装着する必要があったのだ
計測完了。快適な摂氏21度で私の体がどう機能するか、研究者たちは把握した。そこで、扇風機が作動し始める。涼風が次第次第に、室内の気温を下げていく。
「こうして話している今も、あなたの脳はあなたの血を味わっているし、気温を味わっている。それをもとにあなたの脳は今、体全体に信号を送っている」と、ベイリー教授は話す。
心臓や肝臓といった私の主要臓器を、約37度で維持することを、この実験は目指している。
この時点の私はまだ、自分の体内で大きな変化が起きていることに気づいていない。しかし、体の外ではすでに変化の兆候が出ていた。
室温が18度に下がったころには、私の汗は引いていたし、腕の毛は体を温めようと立ち上がっていた。
「18度が分岐点だと、科学的にわかっている。体は今は、その中心温度を守ろうとしている」。うなりを上げる扇風機の音にかき消されそうになりながら、ベイリー教授が叫ぶ。
続いて私の指が白く、冷たくなる。主要臓器への温かい血流を維持するため、手先の血管が収縮しているからだ。
私の性別が違っていたら、この現象はもっと早く起きる。
「女性の方が寒さを感じやすいのは、エストロゲンの影響で、手足の血管が収縮しやすいから。(中略)私たちが冷えやすいのはそのせい」なのだと、英ポーツマス大学のクレア・エグリン博士は話す。
室温が11.5度になって、最初の震えがやってくる。熱を作り出すため、筋肉が震え始めるのだ。
室温が10度まで下がると、扇風機は止まる。私は凍えてはいないが、決して快適ではない。全身のデータをまたとる。10度では体は影響を受けないなどと私が思っていたのは、間違いだった。
「10度になると、体はとてもがんばっている」と、ベイリー教授は言う。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63694181
服を着る
俺の冬の部屋は3度くらいやど布団から手を出したら動かない
21度で額に汗かくってどんだけ暑がりなんこの人
室内だと結構着込んでてもじっとしてると寒いぞ
室温10度でこんな服装のままいるやつなんかいないだろ。