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全国高校サッカー長崎県大会 国見が12年ぶり優勝 劇的ロスタイム決着
第101回全国高校サッカー選手権県大会は13日に決勝が行われ、国見が2―1で創成館に競り勝ち、12年ぶり23度目の優勝を果たした。スタンドに向かって笑顔を見せる国見の選手たち=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎
サッカーの第101回全国高校選手権長崎県大会最終日は13日、諫早市のトランスコスモススタジアム長崎で決勝が行われ、国見が終了間際の決勝点で創成館に2-1で競り勝ち、12年ぶり23度目の優勝を飾った。
国見は前半4分、MF北村の右CKをDF平田が頭で合わせて先制した。18分も北村の右CKをFW川添がヘディングで狙ったが、この窮地をしのいだ創成館が26分に同点弾。中盤でボールを奪ったFW波多野がペナルティーエリア手前まで一人で持ち上がってミドルシュートを決めた。
後半は国見が14分からの5分間で立て続けに3度の決定機を迎えながら、創成館も体を張ってゴールを死守。スコアが動かないままロスタイムを迎えたが、国見は延長突入間際にDF村田の右クロスを途中出場のFW利根が頭で合わせてゴールネットを揺らした。
国見は全国高校選手権(12月28日開幕・首都圏)の出場権を得た。第69回大会に県大会免除で出場しているため、今回で24度目の出場。島原商と並んで県内最多となる。今月21日に組み合わせ抽選会が行われ、対戦カードが決まる。
このほか、1回戦で6得点を挙げた森田一波(長崎明誠)が大会得点王に決まった。
◎FW利根、殊勲弾 勝ちきるチームに成長
ロスタイムは目安の4分を回ろうとしていた。
「これが最後のチャンスになる」。183センチの長身FW利根は、無我夢中でクロスに飛び込んだ。相手よりわずかに早く触れたボールがGKの手を擦り抜けていく。「信じられなくて、その後からは何も覚えていない」。気がつけば、ベンチの仲間と抱き合っていた。
国見が、実に12年ぶりとなる選手権行きを決めた。1-1の終了間際に決勝点を挙げる劇的勝利だった。「止まっていた時間が、やっと動き始めた」と木藤監督。祝福の拍手が、この瞬間を待ちわびた人の多さを物語っていた。
満を持してのV奪還だった。故小嶺監督が去って間もなく低迷期を迎えた国見は、5年ほど前からコーチ陣を若手OBらで固めて再建に着手。ここ1、2年は決定力不足で優勝を逃していたため、さらに今季はCKやロングスローを新たな武器に取り入れて「勝ちきるチーム」へと成長を遂げた。
今大会で記録した9点中5点がセットプレーから。決勝もCKで先制し、昨年の準決勝でPK負けした創成館へのリベンジを果たした。名門の重圧から解き放たれた選手たちは、ピッチに顔をうずめて感極まった。
今年で第101回を数える全国高校選手権のテーマは「ネクスト100」に決まった。100年の歴史を経て、次の100年へと向かう始まりの年。小嶺監督や丸刈り頭の少年がいない新時代の国見が「聖地」へ戻ってくる。