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来年3月に開業予定の日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」
これから冬を迎える北海道に、大変貌を遂げつつある「まち」がある。札幌に隣接する北広島市だ。人口約5万7000人。全国的にはほぼ無名の札幌郊外のベッドタウンである。この街に来年3月、日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」が開業する。球場の周辺一帯は「北海道ボールパークFビレッジ(以下ボールパーク)」(敷地面積32ヘクタール)として整備され、新たな世界が形成されようとしている。新球場を巡ってはファウルゾーンをめぐる問題が浮上しているが、来春までには収束するだろう。新たな北海道のシンボルを誘致したまちの現状を取材した。
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新球場建設の進捗率は95%を超えているという。スタジアムの収容人員は3万5000人。当面はJR北広島駅からのアクセス(徒歩約20分)となるが、2027年度には最寄り駅が建設される予定だ(請願駅)。新球場は「世界がまだ見ぬボールパークを創る」というコンセプトのもとに設計されたもので、敷地面積5ヘクタール、掘り込み式フィールドから地上4階まで観客エリアが広がる斬新なスタジアムだ。温泉施設や乗馬シミュレーターも併設され、野球以外の楽しみも広がる空間となる。球場内のホテルに宿泊し、部屋から野球観戦することも可能だ。
新球場を含む一帯はFビレッジとして整備され、球場の他にキッズエリア、レジデンス(地上14階建て、2棟の分譲マンション)、農園エリア、認定こども園、シニアレジデンス(賃貸)、プライベートヴィラ(全9棟)、テナント入居の商業施設などが併設される。周辺の道路やバス路線も整備される予定だ。
北海道を代表する新たなシンボルエリアが誕生しようとしているわけだが、来年3月の新球場開業を前に、現地を訪れて周辺一帯の最新状況を確認した。
驚きは札幌の地下街から始まった。通路の真ん中にある柱には2030年冬季五輪招致ポスターがズラリと貼られ、その先の左右の壁面には「完成まで、もうすぐです、2023.3 START!」「北海道に、BIGBOSS就任以来のBIG NEWSだねこれは。」といったボールパーク、新球場開場のポスターが続く。道外から訪れた観光客らには格好のPRとなっている。
札幌駅から空港エアポートを使うと17分で北広島市に着く。所要時間でいうと中央線快速の新宿から三鷹までと一緒だ(料金は540円で2倍以上)。駅構内にファイターズの選手写真の幟(のぼり)が飾られ、「2023 PLAY BALLあと0年4ヶ月」の掲示板が置かれている。コンコースの窓に設置されたモニターからはファイターズの動画が流れている。ファイターズの街を感じさせる出迎えだ。
駅西口では再開発の工事が進行中だ。「北広島駅西口周辺エリア活性化事業始動」の看板が目を惹く。地上14階地下1階の高層ビルが建ち、1~3階は商業フロア、4階以上はホテルフロアになるという。完成は2024年秋の予定。いまは閑散としている駅前の光景が一変する。
駅から北進通を歩くこと約20分。道路は拡張工事などの整備が進んでいる。北広島高校を過ぎたあたりにエスコンフィールドの建物が見えてきた。ボールパークと道路を挟んだ反対側には広大な「レクリエーションの森」や「野幌原始林」が展開している。大自然の懐に抱かれるような形で新たな街が形成されようとしているのだ。
新球場の建物はほぼ完成しているようだ。「ES CON FIELD」「FIGHTERS」の看板(ロゴ)もできている。隣に2棟のレジデンス(マンション)が建設中だ。市内の住民が「マンションはもう完売したそうですよ。高いタイプは1億円超ですって」と羨望を込めて話してくれた。
球場周辺のエントランス部分や施設の工事が行われていて、工事車両が多数止まっている。球場周辺の道路をぐるっと回り、北側に向かう。舗装前の道路に「セントラルアベニュー」の掲示板。さらに進むと駐車場内で工事関係者が30人ほど集まって屋外ミーティングの最中だ。やがて長い塀が現れ、「世界がまだ見ぬボールパークをつくろう。」の文字が。来年の春には未舗装の歩道も完成し、いよいよ開業を迎える。
ボールパークの整備が進む地域の地名は「北広島市共栄」から、2023年1月1日に「北広島市Fビレッジ」へと変更されることになった。文字通り新たな「まち」が誕生するということだ。
ボールパークを後にして、市内を散策すると共栄町に行き着いた。比較的新しい一戸建ての住宅が立ち並ぶ一角だ。昭和時代から住み始めた世帯が代替わりで建て替えた家が多いという。