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マイタケを入れると卵が…炒め物は固まるのに、茶わん蒸しは固まらない!なぜ?
秋といえばキノコ! なんて人も多いのではないでしょうか。煮物や鍋、炊き込みご飯など、おいしくキノコが楽しめるメニューは数知れず……。そんななか、インターネット上で、茶わん蒸しにマイタケを入れると「固まらない」という情報が見受けられます。管理栄養士の岸百合恵さんに、真偽を聞きました。
酵素「プロテアーゼ」が原因?
Q.マイタケを茶わん蒸しの具材にすると、卵が固まらないというのは本当でしょうか。
岸さん「マイタケを入れると卵が固まらないことがあるのは、本当です。マイタケの中には『プロテアーゼ』という酵素が多く含まれています。プロテアーゼはタンパク質を分解する性質があり、茶わん蒸しに入れると卵に含まれるタンパク質を分解してしまい、加熱しても固まらなくなってしまうのです」
Q.しかし、マイタケ入りの茶わん蒸しを見かけたことがあるのですが。
岸さん「マイタケを生で茶わん蒸しに入れると卵は固まりませんが、一度加熱してから入れると固まります。これは、マイタケに含まれるプロテアーゼが熱に弱く、生の状態で活性化するため加熱処理をしたものを使用することで酵素の働きが弱まり、卵のタンパク質が守られるからです。
あらかじめマイタケを煮ておくか、蒸したりよく炒めたりしたものを使用すれば、普通にマイタケの茶わん蒸しを作ることができます」
Q. マイタケと卵を組み合わせた炒め物もあります。マイタケと卵を炒める料理では、卵が固まらないということはないのですか。
岸さん「卵が固まらないことはありません。炒め物は短時間で一気に火が通るため、プロテアーゼの影響を受けることはないからです。マイタケと卵の炒め物の作り方は2通りあります。
まず、マイタケを先に炒めたところへ卵を加えて炒めた場合、プロテアーゼの活動が失われており、卵のタンパク質に作用することはありません。
逆に、卵を先に炒めてからマイタケを加える場合も、影響はありません。卵が熱ですでに固まっていることに加え、その後にマイタケを加えてもプロテアーゼも熱で活動が失われるからです。
ちなみに卵とじの場合も先に舞茸を煮込んであるため、プロテアーゼの活動はすでに失われており、卵に影響はありません。」
Q.シイタケやシメジなど他のキノコ類で、特定の食品と組み合わせると調理がうまくいかないという例はありますか。
岸さん「キノコ類には、さまざまな特徴を持つプロテアーゼが含まれますが、シイタケやシメジなど他のキノコ類が、通常の調理を行うときに他の食材に影響を与える心配はありません。
シイタケやシメジに含まれるプロテアーゼはマイタケのプロテアーゼと違い、強い熱耐性を持たないことから卵のタンパク質には影響せず、料理にも影響することはありません」
Q.茶わん蒸しや炒め物以外で、マイタケのおいしさを生かせる調理法はありますか。
岸さん「マイタケは独特の風味や食感があり、すき焼きや煮物、汁物、炊き込みご飯など、さまざまな食べ方、楽しみ方ができるキノコです。
中でも、おすすめは天ぷら。高温で一気に衣で香りを封じ込める天ぷらは、マイタケの香りが口の中いっぱいに広がり、シャキッとしたマイタケ特有の食感も楽しめます。
また、プロテアーゼが、卵だけでなく肉のたんぱく質を分解することから、肉を柔らかくする作用もあります。焼く前の肉にまんべんなく触れるよう、生のマイタケを細かくほぐし、最低1時間以上はラップなどに包みくっつけておくのがベターです。さらにマイタケのうま味成分が肉全体に広がり旨味も増すのでぜひ試してみてください」
オトナンサー編集部