2022年11月13日 5時0分 Techinsight
スイス北東部の町工場で今月9日、25歳の男性が摂氏720度のアルミニウム溶解炉に転落するという事故が発生した。男性は炉の中から自ら這い出し、奇跡的に命を取り留めた。『FM1Today』などが伝えている。
スイス北東部ザンクト・ガレンのアルミニウムダイカスト(金型に溶融したアルミを圧入する)工場「DGS Druckguss Systeme AG.、以下DGS」で9日夜、電気技師の男性(25)が溶解炉に転落した。
男性は溶解炉上部にある電源プラグの取り換え作業を行っている最中、何らかの原因で炉の開口部から落ち、摂氏720度の液体状アルミニウムが入った炉の中に転落した。
男性は膝まで液体状アルミニウムに浸ったが、幸運にも自力で炉から這い出すことに成功、同僚や救急医らによる応急処置後、ヘリコプターで病院に搬送されて手術を受けた。
DGSの最高経営責任者アンドレアス・ミュラー氏(Andreas Müller)によると、男性は手と脚に重度の火傷を負ったものの12日には退院、歩くことも可能だそうで、事故後のインタビューでこのように述べた。
「男性が炉から素早く這い出したこと、また現場スタッフと救急隊の的確な対応が功を奏し、最悪の事態を避けることができました。このような状況下に置かれながらも容体は良く、男性には守護天使が付いていたと思っています。」
「事故が起きたのは新設したばかりの施設で、厳しい安全基準に基づいて運営されてきました。事故についての詳細は明らかにできませんが、不運が重なったことで起きたと推測しています。」
なおザンクト・ガレン市警察は現在、事故がどのようにして起きたのか、工場の安全管理に問題はなかったのかについて調査中で、結果はまだ出ていないという。
ちなみに今年6月にはアメリカの鋳物工場で、39歳の従業員の男性が鉄を溶解するための摂氏1500度近い炉の中に転落し、体半分を床に残した状態で死亡した。男性は鉄のサンプルを採取していたという。