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日本ハム「新球場問題」の顛末、完成間近に〝イチャモン〟は他球団の嫌がらせ? 野球規則の解釈緩和が焦点か
<中略>
新球場運営会社の「株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント」は本紙の取材に対して、「現在、球団内での調整や、NPBとも協議中であり、お答えできることがありません」とコメント。8日には来季のセ・リーグと交流戦の日程が発表されたが、NPB関係者は「日本ハムの新球場の問題に関しては現在協議中」と態度を明らかにしなかった。
今季12球団の本拠地はいずれも、十分なファウルゾーンが確保されている。新球場が規格外の構造になったのは、米国で野球場を手がけてきた設計会社に発注したことが理由とみられる。米球界の公式規則にも60フィートの規定はあるが、あくまで「recommended(望ましい)」という位置づけ。本場でも臨場感が優先され、実際にメジャー30球団で要件を満たすのは2球場のみだ。
新球場の工事が95%まで進捗し、来季開幕を半年後に控える段階での指摘に日本ハム側は困惑。これまでNPB関係者や規則委員、他球団の職員が視察に訪れた際には、バックネットが近いことが臨場感を演出するアピールポイントだといった説明を重ねており、特に問題視されたこともなかったという。
不可解なタイミングでの〝物言い〟について、ある球団のフロント関係者は「日本ハム側は新規参入を目指している新球団の問題が火種だと受け止めている」と明かす。今年に入ってNPB内には、静岡を本拠地に2軍のみで活動する13番目の新球団創設の動きがあるが、反対に回っている複数球団の一角が日本ハムだ。土壇場になって新球場の問題が実行委で提起されたのは、「新球団推進派による嫌がらせではないか」と疑心暗鬼を募らせているという。
前出関係者は「真相はどうあれ、そもそもはルールを軽視した日本ハム側に非がある」と指摘しつつ、にわかに来季開幕を新球場で迎えられるか不透明感が増し、札幌ドームからの本拠地移転が暗礁に乗りかねない悲観論が広がる事態を憂慮。一方で、アマ球界関係者は「空騒ぎで終わりますよ」と断言し、「恒例のプロアマ規則委員会が今年は12月中旬に開かれ、問題の60フィート規定に関する〝誤訳〟が訂正される見通しだ」と説明する。
そもそも日本の公認野球規則は、基本的に米国の公式規則を翻訳した内容だ。原文では前述のとおり、ホームベースからバックネットまでの距離は60フィート以上が「recommended」と記されている。直訳の「望ましい」では混乱を招くとの懸念から、日本では「必要とする」とより厳密な表記になった経緯がある。現行のメジャーの球場の実態にも即した形で条件が緩和されれば騒動に幕が引かれる。ただ、この空騒ぎが誰のどんな思惑で引き起こされたのか、後味の悪い疑問が残りそうだ。
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