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【日刊ゲンダイ】韓国一の高層ビル周辺でも発生! 「地価下落」より怖い「地盤沈下」
そんな10年以上も節約生活を続けた末にようやくマンションを手に入れたにもかかわらず、入居してすぐに建物が傾き、巨大な陥没穴(シンクホール)に沈んでしまったらどうなるだろう。11日から公開される韓国映画「奈落のマイホーム」(原題:「シンクホール」)ではマンションが一瞬にして地下深くへとのみ込まれる。もちろんフィクションだが、実際にソウルには現地の人も「地盤がヤバい」と考える地域が幾つかある。
政府の調査によれば、2021年までの5年間に発生した地盤沈下は1176件。過去にはロッテが超高層ビル「第2ロッテワールド」を建設した蚕室(チャムシル)でも地盤沈下事故が頻発し、傾いた住宅もあった。
高さ555メートル、地上123階建ての韓国一高いビル「第2ロッテワールド」の建設中、周辺での地盤沈下と同じぐらい心配されたのが、建設現場と隣接する「湖の水位低下」だった。当時、この近辺に住んでいた韓国人は「湖の水は一体どこに流れ出ているのか」と不安がっていた。減った分はソウルを流れる漢江(ハンガン)からくみ上げた水で補充されたが、どう考えても根本的な解決策とはいえず、住民の不安を増幅させただけだった。周辺には地下鉄も通っている。住民たちが「地盤は大丈夫だろうか」と心配したのも無理はない。
調査の結果は「安全性に問題ない」とされたが、いざ「第2ロッテワールド」が完成しても、高い家賃と地盤への不信感のせいか、思いのほか入居を希望する法人が少なかったと不動産業者から聞いたことがある。しかもその高さゆえ、ソウルの江南(カンナム)区のどこからでも見えるため、「まるで“権力の象徴”のような嫌みなビル」と皮肉る韓国人もいた。
ただし、韓国一の称号も、26年には返上することになりそうだ。新しく一番になるのは、日本円で1兆円超の費用をかける現代自動車グループの新社屋。高さ569メートルはロッテよりも14メートル高い。
ロッテ、現代と続いたら「次はサムスン?」と連想させられるが、大事故が起こるたびに“安全不感症”と批判される韓国。競うべきは高さではなく安全性だろう。
(児玉愛子/韓国コラムニスト)
11/12(土) 9:06配信
日刊ゲンダイDIGITAL
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