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【羽田真代】梨泰院の雑踏事故だけじゃない、鉄道、航空機事故が相次ぐ韓国の安全管理
(略)
2022年11月6日、ムグンファ号がソウル・永登浦駅近くで脱線した。事故時、列車には乗客が275人乗車しており、日本人1人を含めた35人が負傷した。
同月9日に報じられたニュースによると、ムグンファ号が事故区間に進入する前、既に線路分岐部のトングレール(ポイントや継ぎ目で使用される先端が細くなっているレール)が破損していた事実が確認されたことがわかった。
脱線したムグンファ号の4分前には、同じ線路を韓国最速列車であるKTXが通過していたそうだ。脱線した列車が速度の出るKTXだったら、死者が発生していたかもしれない。
また、線路の破損がソウル市内だったのも不幸中の幸いだった。ムグンファ号は終点のソウル駅に近づいており、速度を落としていたからだ。トングレールの破損が高速走行している地方で発生していれば、乗客・乗員全員が生きて帰って来られなかった可能性がある。
2022年は3回の列車事故で4人が死亡
実は、ムグンファ号が事故を起こす1日前の同月5日にも、死者が発生する別の鉄道事故が起きている。京畿道・義王(ウィワン)市にある五峰(オボン)駅で、線路の調整作業をしていた33歳の韓国鉄道公社の従業員が貨物列車にはねられて死亡した事故である。この事故は、鉄道安全非常対策会議を3日に開いた直後の出来事であった。
ただでさえ今の韓国は、梨泰院(イテウォン)で起きた雑踏事故による悲しみと怒りで国民の感情が高ぶっている。そこに、ムグンファ号の脱線と従業員の死亡事故まで発生したのだ。
これらの事故を目の当たりにした韓国人の中には、自国の安全管理を疑問視する声も出ている。現に、列車事故だけで言えば、2022年は既に3回旅客列車が脱線し、4人の従業員が死亡した。
さすがにこの数字は異常だろう。早急に危機管理体制を再構築する必要がある。
数年前から、韓国では「ヘム(HEMU400)」という高速列車の実用化を目指した研究が進められている。2022年3月14日時点に記録したヘムの最高速度は時速421.4キロメートルで、世界で4番目に早いそうだ。
ちなみに、1位は日本で603キロメートル、2位はフランスで575キロメートル、3位は中国で501キロメートルである。
先ほどもご紹介したように、韓国で現在走っている高速列車の平均時速は速くても150から190キロメートルだ。この程度の速度で事故ばかり起こしているのに、時速400キロメートル以上の高速列車に人を乗せて走れるだろうか。
大韓航空機は直近4カ月で4件の航空機事故
韓国で事故が起こっているのは陸路だけではない。
2022年10月23日には、ソウル発セブ行きの大韓航空機(エアバスA330)が着陸時にオーバーランした。悪天候の中、着陸を2度やり直し、3度目に事故を起こしたという。乗客・乗員173人全員が無事だったが、機体が激しく破損した。
同社は1カ月前の9月30日に、英国・ロンドンで離陸を準備していたときに着陸していた別の旅客機と接触事故を起こしたばかりだった。
筆者がこの記事を書いている2022年11月10日時点で、大韓航空は直近4カ月の間に4件の航空機事故を起こしている。
これらのニュースを見て、過去の事故から学ばない韓国の悪い癖がまた出たなと考えていたとき、聯合ニュースから速報が流れた。韓国産超音速戦闘機KF21「ボラメ」2号機が初の試験飛行に成功したそうだ。
さて、この戦闘機は事故を起こさず空を飛び続けることができるだろうか。