【朝日新聞/社説】南北の応酬 力の対抗に歯止めを 米韓と日本は対話に導き出す手立ても尽くす必要がある

【朝日新聞/社説】南北の応酬 力の対抗に歯止めを 米韓と日本は対話に導き出す手立ても尽くす必要がある

【朝日新聞/社説】南北の応酬 力の対抗に歯止めを 米韓と日本は対話に導き出す手立ても尽くす必要がある

1: 新種のホケモン ★ 2022/11/05(土) 08:09:03.90 ID:yfD/Yp1s
asahihonsya
 お互いが挑発に乗って強硬な対抗措置で返せば、本格的な軍事衝突を招きかねない。危うい応酬の連鎖を、いますぐ断ち切る必要がある。

 朝鮮半島の緊張が急速に高まっている。北朝鮮は3日朝、弾道ミサイルを日本海に向けて3発発射した。うち1発は米本土を射程に収める大陸間弾道ミサイルとみられ、失敗して日本海に落下した模様だ。

 これを受けて米韓が空軍合同訓練の延長を発表すると、反発する北朝鮮は夜、再び3発の短距離弾道ミサイルを撃った。

 同様の応酬はその前日にもあった。北朝鮮が発射した20発以上のミサイルの1発が、海の軍事境界とされるラインを「初めて」(韓国大統領府)越えて落ちた。対して韓国軍も空対地ミサイルを境界ラインの北側に撃ち込んだ。

 「力と力」を競って一触即発の危機を呼び込む、愚かなふるまいというしかない。

 緊張の発端が、北朝鮮の危険きわまりない行動であることはいうまでもない。9月下旬から国連安保理決議に違反する弾道ミサイルを高い頻度で発射し、韓国に近い沿岸では砲撃を繰り返してきた。

 暴走を演出すれば米韓などから制裁緩和などの譲歩を引き出せると考えるならば、思い違いもはなはだしい。国際的孤立や新型コロナ、災害に起因する国難から抜け出すには、核・ミサイルとの決別が不可欠だ。

 一方、韓国側の強硬一辺倒の対応が、北朝鮮に軍事挑発の口実を与えている。徹底した対北抑止政策を掲げる尹錫悦(ユンソンニョル)政権内には、強大な力こそが北朝鮮の行動を抑え込めると唱える根強い声がある。それが軍事演習を途切れなく続ける理由にもなっている。

 万一に備えた演習は必要だろう。だが北朝鮮の側に、米韓の圧力を理由に自らの軍事行動を正当化する狙いや、様々なミサイルを発射して実戦配備に向けた技術を磨く冷徹な計算があることも、忘れてはならない。

 想起されるのは、2010年に起きた韓国・延坪島(ヨンピョンド)への砲撃である。韓国の軍事演習を理由に北朝鮮が島に砲撃を浴びせ、民間人にも犠牲が出た。朝鮮戦争の休戦後、初めて韓国の陸地が砲撃を受けたケースだった。

 この教訓を関係国は思い起こすべきだ。ひとたび戦火が開かれたら凄惨(せいさん)な戦争につながりかねないことは、多くの歴史が示している。

 国連安保理が十分な機能を果たせない状況で、解決の道も狭まっている。米韓と日本は、北朝鮮の責任を厳しく問うと同時に、対話に導き出す手立ても尽くす必要がある。

2022/11/5 5:00 朝日新聞
https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S15465357.html?iref=sp_rensai_long_16_article


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