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プロ野球で「中絶トラブル」続々発覚・・・“女遊び”で済まない時代錯誤のモラル
巨人の坂本勇人選手に続き、広島カープ・中村奨成選手の「妊娠・中絶トラブル」が報じられている。一昔前ほどではないとはいえ、今でも子どもにとって憧れの職業であるプロ野球選手の一部では、女性を人と思わないような態度が横行しているのだろうか。傍若無人な王様ではなく、人格の伴ったアスリートが生まれるよう球界も変わらなければいけないのではないか。(フリーライター 鎌田和歌)
● 女性たちの悲痛な声、「女性は風俗嬢扱い」
野球選手の女性に対する不誠実な対応が相次いで報道されている。
「ごめんけど結婚なんてする気ないもん。だから1人で育ててもらうことになると思う」
「だからおろすしかないじゃん」
こんな無責任なメッセージを妊娠した女性に送っていたことが明らかになったのは広島カープの中村奨成選手。10月27日発売の「週刊文春」が報じたところによれば、中村選手は複数の女性とインスタグラムのDM(ダイレクトメッセージ)を通じて親しくなり、少なくともA子さん、B子さんの二人と不誠実な交際を行っていたようだ。
そのうちA子さんについては、今年3月にインスタで初めて連絡を取り合い、5月に中村選手から交際を申し込まれたとA子さんは語っている。しかし7月に妊娠が判明すると態度が一変し、A子さんは今後の連絡は弁護士を通すように求められたという。
またB子さんは中村選手の自身への態度から「この人の中で、女性は風俗嬢扱いなんだと思いました」と語っている。
記事の中では、9月に同じく妊娠中絶トラブルが報道された巨人・坂本勇人選手の件についても触れられていた。法学者でありスポーツ界のジェンダー問題に詳しい谷口真由美氏の指摘も掲載されていた。その内容は、監督や先輩への「厳しい服従」に耐えた高校球児がプロになり人気を獲得するようになると、今度は「服従させる形」でしか接し方がわからずトラブルに発展してしまうのではないかというものだった。
谷口氏の「服従させる形でしか接し方がわからずトラブルに発展してしまうのではないか」という指摘は推測ではあるが、いまだに丸刈りが強制かのような甲子園球児や、野球だけではないがスポーツ界でのパワハラ告発などを目の当たりにすると確かにその可能性を検討した方が良いと思ってしまう部分がある。
● 女性蔑視の背景に支配と服従の人間関係?
他の週刊誌もこぞってこの件を取り上げている。
「相次いで報じられる、野球選手による女性への“中絶トラブル”。女性の体を顧みない行動が頻発したことで、SNS上では球界の良識を疑う声が寄せられている」と取り上げたのは「女性自身」。
「FLASH」も球界でこのようなトラブルが相次いでいることに触れて、「このほか、DeNA中継ぎエースの田中健二朗投手の不倫、ソフトバンクのドラ1・風間球打投手の“出会い系三昧”など次から次に報道されています。これでは、野球界全体のイメージダウンは免れないでしょう」というスポーツライターのコメントを紹介している。
また、スポーツライターの広尾晃氏によるプレジデントオンラインの記事『野球がうまければ、すべて許される…巨人・坂本勇人選手の中絶トラブルに驚かないプロ野球に未来はない』では、文春記事の谷口氏の指摘に似た部分がある。
「軍隊方式の絶対服従の社会で育ってきた野球選手は、先輩、指導者の言うことに絶対服従だが、野球界以外の人の言うことには、なかなか耳を傾けない。とにかく『野球界のヒエラルキー』の中にこもりがちだ」
さらに、ラグビーや相撲と違い、成功すれば「若くして大企業の社長を上回る収入を得る」ことになるプロ野球選手には「野球以外のことをほとんど学ばず、社会常識やモラルも知らず、閉鎖的な社会で育ってきた若者が、たまたま持ちつけぬ大金を持って、いきなり『全能感』を」持つ一面があることを鋭く指摘する。
この後、広尾氏はホテルや新幹線の予約をしたことがない選手も多いような現状を危惧し、野球選手に社会常識を教える講義の取り組みがあることも紹介している。