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【辺真一】韓国で「反韓政治家」「右翼政治家」のレッテルが貼られ嫌われている麻生さんがなぜ訪韓?
(中略)
韓国では麻生副総裁の訪韓を意外な思いでもって受け止めている人は決して少なくはない。麻生氏は「反韓人士」の烙印を押されていた安倍元総理と並んで韓国では極めて評判が良くないからだ。
麻生氏が副総理兼財務相として文在寅(ムン・ジェイン)政権下の2019年に韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工への賠償金支払いを命じた判決への対抗措置として韓国への半導体素材の輸出厳格化やホワイト国からの除外措置を主導し、仮に韓国が日本企業の資産を現金化すれば関税に留まらず送金停止やビザの発給停止など更なる報復措置を示唆していたからである。
それでなくても、麻生氏には過去の発言などで韓国では「反韓政治家」「右翼政治家」のレッテルが貼られている。そのことは2008年9月に麻生氏が総理に就任した時の韓国メディアの反応を見れば、一目瞭然だ。
当時、「聯合ニュース」が「日本の植民地時代、麻生氏の父親が経営する炭鉱で朝鮮半島出身者が多数働いていた」との記事を配信するなど、強制連行絡みでその「ルーツ」を掘り下げて報じていたメディアが多数あった。
「国民日報」などはズバリ「父親は日帝占領時代、1万余名の朝鮮人徴用者を連行し、九州の麻生炭鉱の社長だ。 麻生は『創氏改名は朝鮮人が求めたもの』などの暴言により対外イメージが悪い点が指摘されている」と好き放題書いていた。
韓国の「麻生嫌い」はもちろんその「ルーツ」だけにあるのではなく、麻生氏の「歴史認識」に関する発言に起因しているようだ。
あるコラムニストが「PRESSIAN」というメディアに「妄言が口癖の麻生太郎が日本の次期総理か」と題して 「日本市民に送る手紙」なるものを発表していたことがあった。内容は概してこんなものだった。
「麻生氏は韓国人の記憶に残る妄言を口にする政治家として認識されている人物だ。 彼は韓国の歴史を否定する妄言を繰り返しながら、心から謝罪をしたことのない人物である」
「2003年5月の東京大学での講演では『創氏改名は朝鮮人が求めたもの、ハングルは日本人が朝鮮人に教えてあげたものであり、 義務教育も日本が始めた。正しいことは歴史的事実として認めたほうが良い』と言ったこともあった。2005年5月の英国のオックスフォード大学での講演では『戦後の日本は経済再建が最優先目標だったが、 幸いにも朝鮮半島で戦争が起き….』と隣国の惨憺な戦争の苦痛を省みない発言を行なったこともあった」
「この時の講演では靖国についても発言し、『靖国神社参拝は正しく、今後も続けなければならない。 靖国神社の軍人がA級戦犯と決定したのは、日本ではなく、占領軍が決定したものだ。靖国神社参拝を問題にする国は世界で韓国と中国だけだ』 とむしろ中国と韓国を批判していた」
また、麻生氏が2013年2月に朴槿恵(パク・クネ)大統領の就任式に出席し、朴大統領と会談した際、「韓日間の真の友好関係構築のために歴史を直視し、過去の傷がこれ以上悪化せず治癒するようお互い努力しよう」との朴大大統領の呼びかけに対して「米国を見てほしい。米国は南と北が分かれて激しく戦った。しかし南北戦争をめぐり北部の学校では相変わらず『市民戦争』と表現するところがある一方、南部では『北部の侵略』と教える。このように同じ国、民族でも歴史認識は一致しないものだ。異なる国の間ではなおさらそうだ。日韓関係も同じだ。それを前提に歴史認識を論じるべきではないだろうか」と反論したことも、韓国では批判の的にされていた。
加えて朴大統領が「両国の指導者が慎重な発言と行動を通じ、信頼を持続的に構築していくことが重要である」と訴えたにもかかわらず、帰国から2か月後に靖国に参拝したことから「朴大統領のメンツが潰された」として当時韓国では保守派までも麻生氏に嫌悪感を示していた。
(中略)
今日にも予定されている尹大統領との会談内容が注目されてならない。
辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
11/2(水) 13:10
https://news.yahoo.co.jp/byline/pyonjiniru/20221102-00322252