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お弁当になぜタコのウインナー?
お弁当にはタコの形をしたウインナーを入れることが多いが、これは母親の子どもへの想いから生まれたものである。
「タコの形をしたウインナー」を日本で最初に考案したのは、料理研究家・尚道子(しょう みちこ、1920~2002年)だとされる。
道子は、子どもの頃に食が細かった次男の尚承(しょう つぐる)のためにタコのウインナーを作った。
1953年(昭和28年)生まれの承は幼稚園に通うようになった頃、食べるのが嫌いでやせ細っていた。
母の道子はそんな承のお弁当を作る時に頭を悩ませていた。承の唯一のお気に入りはタマゴとキュウリのサンドイッチだった。
そのサンドイッチのお弁当のおかずにウインナーを入れた。当時のウインナーは赤色のものが主流で、皮が硬く、ツルツルして箸でもつかみにくかった。道子はそんなウインナーに切れ目を入れて、食べやすくした。
その結果として、切れ目が入った赤色のウインナーはタコの形になった。
このようにしてタコのウインナーが誕生したのは承が5歳の時、1959年(昭和34年)のことである。
そして、現在ではタコのウインナーはすっかりお弁当の定番のおかずとなっている。
♦因みに、尚承の曽祖父は琉球王国最後の国王・尚泰王(しょう たいおう、1843~1901年)である。
その尚泰の孫で、道子の配偶者・尚明(しょう あきら、1915~1991年)は、元日本住宅公団副総裁であり、日本におけるダイニングキッチンの発明者でもある。
また、道子の妹・岸朝子(きし あさこ、1923~2015年)は料理記者であり、1968年(昭和43年)から雑誌『栄養と料理』の編集長を10年間務めた。試食の際の「おいしゅうございます」という表現でも知られる朝子は、「タコのウインナーは姉の尚道子が生み出したもの」だと色々なメディアを通して伝えている。
タコの形をしたウインナーは「タコさんウインナー」と呼ばれることが多いが、「タコさんウインナー」はプリマハム株式会社が有する登録商標である。