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朝鮮人虐殺に触れた映像作品の上映、都が不許可に 関係者「在日コリアンへの差別に基づく検閲」
企画展は「あなたの本当の家を探しにいく」というタイトルで、8月末~11月末の予定で開催。飯山さんには精神障害のある家族がいることから、家族と共に制作した映像作品や写真などを展示している。
上映中止となった映像は「In-Mates」。2021年の制作で26分程度。戦前の精神科病院に入院していた朝鮮人患者の境遇や苦しみを描き、関東大震災時の朝鮮人の虐殺にも触れている。在日コリアンのラッパー、FUNIさんが当時の朝鮮人と自らの葛藤を重ね合わせ、「朝鮮人を殺せ」などと歌う場面がある。
人権プラザは、東京都人権啓発センターが運営し、同センターは都人権部から承認を得て企画展を行っている。飯山さんは、人権部からセンターに送られた内部メールを入手。それによると、関東大震災の朝鮮人犠牲者への追悼式典に、小池百合子都知事が毎年追悼文を送っていないことを挙げ、「都知事がこうした立場をとっているにもかかわらず、朝鮮人虐殺を事実と発言する動画を使用することに懸念がある」と指摘していた。
都人権部の担当者はこのメールの存在を事実と認めたうえで、「取りやめの理由は『障害者と人権』という企画の趣旨から外れているため。企画展はセンターが主催しており、スペースを貸し出して表現者が自由に表現する場ではない」と説明した。
飯山さんは「在日コリアンへの差別に基づく検閲があったと思う。判断には小池都知事の姿勢が大きく影響しているのでは」と語った。今後、こうした事態が繰り返されないように署名活動を行い、知事宛てに要望書を提出するという。
小池知事は28日の定例記者会見で、この問題について問われ、「(企画展は)精神障害者の人権がテーマだった。その趣旨に合わないということで(都人権部が)上映しない判断に至ったと聞いている」と説明した。
関東大震災後の朝鮮人虐殺の認識については「東京で起こった大きな災害と、それに続くさまざまな事情で不幸にも亡くなられた方の例がある。全ての方々に対して哀悼の意を表するということで私自身は対応してきた」と述べた。【高橋咲子、黒川晋史】
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20221028/k00/00m/040/342000c