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韓国政治家の矛盾した思考回路 処理水放流に反対もEEZで漁船操業要求 日本に何の利益もない「漁業協定」の味が忘れられず
政治家とは状況を見て、しばしば矛盾した主張を叫ぶものだ。とはいえ、「福島の〝汚染水〟の放流で、世界中の海が放射能で汚染され、魚が食べられなくなる。だから日本は放流をやめろ」と拳を振り上げつつ、「日本のEEZでの韓国漁船の操業を認めろ」と要求するとは、ひどすぎる。韓国政治家の脳内構造はどうなっているのか。
趙承煥(チョ・スンファン)海洋水産相は海洋技術部門の出身者であり、議員経歴もない。政治家とは言えないが、一国の閣僚だ。
彼は今年5月、「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に加入しても、国民の健康と安全のため福島産水産物輸入を禁止した立場に変化はない」と述べた。福島産水産物の輸入を禁止したままTPPに加入できると妄想しているのだ。
その延長線上にあるのだろう。最近の国会答弁で、日韓漁業協定の再締結を目指して、日本の農水相あてに書簡を2回送り、とりあえず高官レベルの協議を実現させたいとの意向を表明した。
日本と韓国の漁業協定は2016年6月末で打ち切りになった。それ以前は、日本の漁船も韓国のEEZで操業していた。だが、日本漁船が韓国海域で挙げる漁獲量を1とすれば、韓国漁船の日本海域での漁獲は10だった。
しかも、破れた漁網を海に置き去りにしたり、幼漁までも乱獲したり、日本海域での日本の海上保安庁の取り締まり権限を認めないと言い出したり…。日本側に何の利益もない片務協定だった。
日本のEEZで操業できなくなったことで、釜山(プサン)周辺や済州(チェジュ)島の水産業者や漁民は音を上げた。それが政界への圧力になっている。文在寅(ムン・ジェイン)政権下の海洋水産相は「日本が交渉に応じないなら、こちらにも考えがある」と強面を見せたが、結局のところ、何もできなかった。
そうするうちに、福島原発「処理水」の海洋放出計画が決定した。常に「反日ネタ」に飢えている韓国の政界とマスコミは、ここぞとばかり日本を非難した。
当時の首相が「日本はもう一つの歴史的な過誤を犯す気か」と言えば、忠清南道の知事は「戦犯国の汚名だけでは足らず、太平洋汚染の犯罪国になる」と絶叫し、マスコミは「地球を汚し、人類を殺す日本」とまで言った。
李在明(イ・ジェミョン)民主党代表(=当時は京畿道知事)は「韓国民の命と安全を脅かす」「日本との命がけの闘いが始まる」と煽った。
「日本が〝汚染水〟を放流すると、魚が食べられなくなる」との非科学的怪談が韓国を覆い、文政権は支持率を高めた。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏は大統領選挙前、福島原発の事故を科学的な立場から考える発言をした。たちまち世論の集中砲火を浴びた。彼は以降、福島原発関連では口をつぐんだままだ。
韓国は「放流断固反対」の立場を変えていないが、非科学的な怪談の影響力はかなり薄まった。一方で、水産関係者からの圧力は高まる。それが日韓漁業協定の再締結を求める動きの背後にある。野党陣営が趙海洋水産相を批判していないことが面白い。
これまでの韓国の手口からすると、「放流反対」の声だけ出すが、事実上容認するから、漁業協定を…と事を運ぶ算段なのかもしれない。(室谷克実)
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10/28(金) 17:00配信
夕刊フジ
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0aec6809a15c8f7c0df4e40e3f84f29aad57d9e