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広島が劇的優勝も観客は…Jリーグが迫られる「ルヴァンカップ」底上げ改革
試合は後半早々、広島のGKへのバックパスミスをC大阪の加藤陸次樹がカットし、GKをかわして無人のゴールへ流し込み先制する。その後もお互いにチャンスを作るも、集中力の高い堅い守備でゴールを割らせない。試合はこのまま終わるかと思われた後半78分、C大阪のヨニッチが暴力行為で一発退場。
その後はひとり多い広島が押し込み続け、アディショナルタイムの99分にPKで追いつくと、101分にコーナーキックからピエロスが押し込み、劇的な逆転優勝を飾った。
非常に見応えのあるいい試合だった。昨季は準優勝だったC大阪も本気で勝ちに来ていたし、1週間前の天皇杯決勝でJ2の甲府に敗れた広島も良くチームを立て直してきたと思う。
しかし、このカップ戦は一般的にどれだけの知名度があり、どれだけの価値があるのだろうか。今年も決勝だけ地上波で生放送され、約4万人の観客が入った。最後だけ成功すればそれでいいのだろうか。
グループステージは平日のナイターで、観客はガラガラ。決勝トーナメントに入れば1万人入る試合もあるが、クラブ自体もこの大会をどこまで本気で捉えているのだろうか。
Jリーグの上位3チーム、天皇杯優勝チームにはACL(アジアチャンピオンズリーグ)出場権が与えられるが、ルヴァンカップ優勝チームには与えられない。以前、優勝チームは南米のコパ・スダメリカーナ(UEFAヨーロッパリーグの南米版)の優勝チームと試合ができた。Jクラブとしては、南米の強豪と対戦することで経験とレベルアップに繋がるものだった。それがここ3年間は開催されていない(東京五輪開催等が理由)。
でも、このルヴァンカップは、ヤマザキビスケット社(旧ヤマザキナマビスコ)が第1回から特別協賛になり、2013年に「同一企業の協賛で最も長く開催されたプロサッカーリーグの大会」としてギネス世界記録に認定され、今も更新されている大会だ。
サッカーの人気がどんなに低迷しても、ここまで続けてくれる企業はないだろう。だからこそ、ルヴァンカップの価値を上げ、もっと盛り上がる大会にするのがJリーグの仕事ではないだろうか。