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ソフトバンクが斉藤和巳氏を投手コーチに招聘 沢村賞2度のOBに立て直し託す
2年連続で日本シリーズ進出を逃したソフトバンクが、来季の1軍投手コーチとして球団OBの斉藤和巳氏(44)=野球評論家=を招聘(しょうへい)することが15日、分かった。沢村賞を2度獲得するなどエースとして活躍した斉藤氏は、度重なる右肩の故障と闘いながら2013年限りでユニホームを脱ぎ、野球評論家として活動。メディアや自らの交流サイト(SNS)などを通じて、古巣への叱咤(しった)激励も続けてきた。来季は10年ぶりに現場復帰し、投手陣の強化に尽力する。
ホークスの黄金時代を支え、一時代を築いた「レジェンド」が帰ってくる。最終戦で敗れ、史上初の同率でのV逸を味わった2022年のレギュラーシーズン。下克上を狙ったCSでもオリックスの返り討ちに遭った。ソフトバンクが来季のV奪還への“切り札”として斉藤氏の招聘に乗り出した。
斉藤氏は南京都(現京都広学館)高からドラフト1位で1996年にダイエー(当時)に入団。2003年に20勝(3敗)をマーク。最多勝、最優秀防御率、最高勝率と三つのタイトルを獲得し沢村賞に輝いた。05年は開幕15連勝を記録。06年にも18勝(5敗)という成績で三つのタイトルに加え最多奪三振も獲得して再び沢村賞に選出されるなど「負けないエース」として絶対的な存在となった。
通算79勝23敗、7割7分5厘と圧倒的な勝率を誇った一方、右肩の故障に苦しんだ。08年に2度目の右肩手術を受けると、リハビリとの長い闘いが続いた。11年からは支配下選手から外れ、コーチ契約から現役復帰を目指したが、13年7月に断念。退団し、その後は野球解説者を務めてきた。
斉藤氏は12球団のキャンプに足を運び、積極的に選手や首脳陣を取材するスタイル。テレビや新聞で解説業を行う中、自身のSNSなどでも後輩たちに激励や厳しい言葉でもメッセージを発信してきた。当然、ソフトバンクの投手陣も熟知している。現役時代の監督だった王会長をはじめ、ともに主力として戦った和田や師事してきた小久保2軍監督、城島球団会長付特別アドバイザーらも在籍しており、10年ぶりの現場復帰に支障は見当たらない。
ソフトバンクの投手陣は今季リーグ3位の防御率3・07。ただ、与四球474はリーグワーストで優勝したオリックスの375とは歴然の差がある。現役時代、厳しいトレーニングで追い込んだ心身の強さで特別な輝きを放った斉藤氏。指導者としての力量は未知数ながら、築き上げた技術に加え、長いリハビリの経験で広く深い視野も得ている。投手陣の技術面だけでなく精神面を鍛錬する意味でも期待は大きい。
エースの千賀は海外フリーエージェント(FA)権を行使しての米大リーグ挑戦が濃厚。今季先発陣では千賀以外に規定投球回に到達した投手はいない。東浜、石川を中心とした先発陣の立て直しは急務。世代交代が進むタカ投手陣の底上げと負けないエースの育成も待ったなしの状況だ。かつての黄金時代を超える「投手王国」の再建が斉藤氏に託される。
西日本スポーツ
https://news.yahoo.co.jp/articles/9dc695563ed22ae8eb9de0f775141d7d6c6ba1e4