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クマムシの無敵伝説がバージョンアップ!凍結中に老化が止まることが判明
人間の場合、冷凍されても死なないのは今のところSFの中だけだが、クマムシの場合は通常の寿命を超えて生きることができるのだ。
若さを保ったまま100年眠り続けたグリム童話のお姫さまを彷彿とさせることから、研究グループはその様子を「眠れる森の美女」に例えている。
クマムシの「眠れる森の美女モデル」
ドイツ、シュトゥットガルト大学の生物学者ジェシカ・ジーゲル氏らがやったのは、クマムシの冷凍・解凍を繰り返すという実験だ。
716匹のクマムシ(Milnesium inceptum)のうち半分を、1週間ごとに「マイナス30℃での冷凍」と「20℃で解凍して、エサやり」を繰り返し、これを死ぬまで続けたのだ。
もう半数(対照群)は、やはり死ぬまで通常の室温で飼育された。
すると驚いたことに、冷凍と解凍を繰り返したグループは、対照群の2倍も長生きしたそうだ。
対照群で一番長生きしたクマムシは93日生きたが、冷凍・解凍グループでは169日(うち94日は室温で過ごした)も生きたのである。
つまり、「凍眠(cryobiosis)」しているクマムシの老化は、完全に停止するわけではないにせよ、劇的に遅くなるということだ。
この結果は、凍眠がクマムシの生物学的体内時計に及ぼす影響についての「眠れる森の美女モデル」を立証するものと、研究グループは述べている。
シュトゥットガルト大学の動物学者ラルフ・シル氏は、「凍眠中は体内時計が停止し、再び目覚めるまで動きません」と、プレスリリースで説明する。
クマムシは凍眠しなければ数ヶ月しか生きられないが、眠ってしまえば何年、何十年と生きられるのだそう。