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【韓国新興宗教】 日本人被害者も出したセックス教団「摂理」の総裁がまたつかまった…性的暴行容疑
●教義は統一教会にそっくり
「摂理」と呼ばれる新興宗教を覚えているだろうか。2006年頃、創始者の鄭明析(チョン・ミョンソク)氏の性的暴力が次々と告発され、「セックス教団」として話題になったあの宗教だ。被害者のなかには日本人女性信者もいたので、日本のメディアもさかんに報じた。
結局、鄭氏は2007年に中国公安に検挙され、翌年には韓国に引き渡された。10年の懲役刑の判決が下され、その後はあまりメディアで報じられることもなかった。18年には、性犯罪の前科者に装着されるGPSをつけて出所している。
ところが、この教祖が再び注目を集めている。御年77歳にして、またもや性的暴行の容疑がかけられているのだ。10月4日午後、女性信者2人に対する性的暴行の容疑で、「証拠隠滅と逃走の憂慮がある」として鄭氏の拘束令状が出された。
女性2人は18年、修道院に滞在した際、鄭氏から数回にわたって性的暴行を受けたと訴えている。告発した信者のうちの一人で英国籍の女性は会見で、「性的嫌がらせ7回、類似姦淫6回、性暴行2回を受けた」と話した。
そもそも「摂理」はどんな宗教なのか。宗教学者の櫻井義秀北海道大学大学院教授が解説する。
「正式にはキリスト教福音宣教会といいます。教義は統一教会のそれとよく似ていて、鄭氏が自分が再臨のメシアであると言っているのは、統一教会の文鮮明と同じです。ただ、統一教会と違って、霊感商法などの金集めは積極的に行いません。勧誘されるのは主に学生で、宗教団体という正体を隠しながら、フットサルやお菓子研究会などのダミーサークルを通じて若者に近づくのです」
●教祖は新郎、信者は新婦
元摂理の副総裁で、現在は反カルトの活動を行っている金敬天(キム・ギョンチョン)牧師が語る。
「勧誘方法は本当に多様で、『文化宣教』とも呼ばれています。スポーツ、芸術活動、ボランティア、医療活動、環境活動などを通じて、一般の人々と接点を作り、過剰に親切にするなどして人間関係を作った後、勉強会などに誘い出します。
私のあったことのある被害者の女子大生は、信者だったときは鄭氏の性犯罪についてまったく信じていなかったそうです。自分が性的な被害を受けて初めて、報道されていることが事実であることを知ったと言います。
摂理の教理では創設者は新郎で信者は新婦とされています。そのため熱心な信者や幹部らは、鄭氏が性行為に及んでも、新郎と新婦だから問題ないと考えるのです。また、信者は『メディアの情報は嘘だ』と教え込まれます。そしてキリストが受けたような迫害を鄭氏が受けているので、皆で結束しようと考えるのです」
日本でも15年前にあれだけ騒がれたカルトだが、当時の報道を知らない若者たちが次々と勧誘されている。最近では、SNSでの勧誘も活発になっており、日本国内の信者数は4000人近くになると見られる。
日本にある団体の事務所に創設者の拘束について尋ねると以下のような回答があった。
「当宣教会は、これまで鄭明析氏が嫌疑に対して誠実に対応しており、住居も明確で逃亡のおそれや危害を加えるおそれもないにもかかわらず、拘束令状が発行された点について、大変遺憾に思います。なお、今後行なわれる司法手続にも引き続き誠実に臨み、真実を明らかにできるよう最善を尽くす所存です」
強姦罪の罪で10年の懲役刑を受けている鄭氏を教祖とし続けるのはなぜかという質問に対しては、「鄭氏を『教祖』として崇めているわけではなく、鄭氏は当宣教会の創始者かつ総裁であって、私たちは、キリスト教の教会として、神様とイエスキリストを信じております」と答えた。
15年以上前に「セックス教団」として大騒ぎされたことを知らない一般の若い信者たちは、喜寿を迎えた教祖の性的暴行容疑をどう感じているだろうか。
週刊現代(講談社)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9984b90470bf656ebb6139832fa5d749d6d073d0