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【元朝日新聞記者】「在日コリアンの民族教育、日本人の問題でもある」
3月初めに韓国に再入国した後、韓国で外国人として暮らすということは本当に大変なことということを改めて実感している。
※以下韓国内での話(ソース元参照)
私が日本に住んでいた時にいくつかのことを契機に外国人の人権に対し敏感に考えるようになった。大学の国際交流サークルで活動し新しく来た留学生らと親しく過ごした。
彼らが水道料金やガス料金などを契約する際に助けて外国人として体験する困難をしばしば経験することになった。大学院で通訳翻訳を専攻した時は実際に裁判所や警察で韓日通訳の仕事をした。
当時韓国人の不法滞在など出入国管理法違反事件が多かく、その背景は多様だった。もちろん規則を破るのはいけないことだが、外国人が合法的に滞在しにくい日本社会の問題もともに知ることになった。
通訳としては問題を提起することはできなかったが、朝日新聞入社後には在日コリアン関連問題や無国籍者の人権などに関し機会があるたびに取材した。
今回日本で過ごす時間が長くなり、東国(トングク)大学日本学研究所で必要な資料を日本で求めたり韓国の研究者の代わりにインタビューも引き受けたりした。
日本学研究所が1979年に設立される時に資金を支援した在日コリアンの王清一(ワン・チョンイル)理事長にインタビューし、それに関する資料を収集した。
王理事長は京都で生まれ育った在日コリアン2世の事業家だ。
昨年12月と今年1月の2回にかけて王理事長に会ったが、その時私にひとつの悩みを打ち明けた。王理事長は日本での在日コリアン民族教育にも努力してきた人で、京都国際学園理事長も長く務めた。
京都国際学園はもともと1947年に京都朝鮮中学として始まり、1958年に京都韓国学園、2003年に京都国際学園になった。京都国際学園は中学校と高校があり、私が王理事長に会った時は高校の野球部が春に開催される選抜高校野球大会に初めて出場できるか発表を待っていた。
◇外国人の活動難しければ韓国にも助けにならない
日本の高校野球全国大会は夏に開かれる大会が有名だが、春の選抜大会もある。夏の大会は都道府県大会で優勝した学校が出場する。春の選抜大会は委員が決める。
前年秋の都道府県大会や地域大会の成績で出場資格が与えられるため発表時まで出場できるかわからない。京都国際高校は昨年秋の近畿大会で準決勝に進出したため選抜される可能性が大きかった。
ところが王理事長は「校歌が韓国語になっていて選抜されないかもしれない」と心配していたのだ。試合中に両チームの校歌を、試合終了後には勝ったチームの校歌を流すが、全国大会の時はそれが全国に放送されるので問題になりかねないということだ。
私は「校歌を日本語に変えれば出場できることになるならどうしますか」と尋ねた。王理事長は少し悲しい表情を浮かべて「それは変えなくては。選手たちがかわいそうじゃないか」と話した。
出場校リストは1月29日に発表された。私も気になってニュースを見たが、京都国際高校が選抜され、その瞬間王理事長が笑う表情が見えるようだった。
出場が発表されると日本でも韓国でも「校歌が韓国語」という事実が大きく報道された。その上初戦で逆転勝ちし「東海」で始まる校歌が甲子園球場に鳴り響きさらに話題となった。
私もユーチューブで電光掲示板にハングルの歌詞が表示されるのを見て感動した。歌詞を日本語に変えることなく出場できることになり本当に幸いだった。
京都国際学園といっても韓国系学校という事実は分かりにくい。2003年に京都国際学園に名前が変わったのは学校教育法1条校として認可を受けた時だった。1条校はさまざまな優遇を得られるが、学校の名前から韓国が消えたのだ。
王理事長は京都韓国学園開校50周年記念パンフレットで1984年に完成した本多山キャンパスについてこのように書いた。「在京都同胞の民族教育に対する情熱の歴史であり、民族差別撤廃の強い望みの歴史だった」。
周辺住民たちの反対運動などにより建設がとても難しかったという。王理事長は「在日コリアンの民族教育は私たち在日コリアンだけの問題ではなく日本人の問題でもある」と指摘したりもした。
在韓外国人問題もまた、韓国の問題だ。外国人が活動しにくくなるようにするのは決して韓国に助けになることではないだろう。
中央日報 2021.04.11 10:15
https://japanese.joins.com/JArticle/277508