【毎日新聞】元寇船の引き揚げ占う「いかり」 「ゴースト・オブ・ツシマ」で注目

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【毎日新聞】元寇船の引き揚げ占う「いかり」 「ゴースト・オブ・ツシマ」で注目

1: 昆虫図鑑 ★ 2022/10/11(火) 16:26:30.61 ID:CAP_USER
 長崎県松浦市沖に沈む元寇船(げんこうせん)の木製いかりが10月1日、引き揚げられる。近くの海底には元寇船が2隻沈んでおり、初の船体引き揚げを見据えた調査の意味合いもある。長崎・対馬での戦いを舞台にしたゲームの世界的ヒットなど、近年の元寇ブームを背景に、地元は船体引き揚げへの機運の高まりに期待する。

 元寇はモンゴル帝国(元)による2度の日本侵攻のことで、このうち2度目となる弘安の役(1281年)の際、暴風雨で松浦市の鷹島(たかしま)沖に元軍の4400隻が沈んだとされる。いかりは2013年、鷹島沖約150メートル、水深約20メートルの海底で見つかり、水中に沈めるためのいかり石と合わせ、重さは500キロ程度とみられている。

 周辺ではこれまでに9基のいかりが引き揚げられているが、いずれも港湾工事に伴う調査だった。それに対し、今回は将来の元寇船本体の引き揚げを目指して初めて実施する計画的な調査で、事前の発掘調査なども含めた事業費は1936万円。引き揚げ後は、船体への応用を見据えた新技術を使って保存する。

 ただ、船体の引き揚げとなると技術的なハードルはさらに高く、億単位の費用も見込まれる。市は国に対して引き揚げを要望しているが、今のところ実現の見通しは立っていない。そうした中、地元が追い風として期待するのが、近年の元寇ブームだ。

 13年に発表された、対馬での戦いを描いた漫画「アンゴルモア 元寇合戦記」(KADOKAWA)は18年にテレビアニメ化され、現在も続編がウェブで連載中。中でも大きいのが、やはり対馬が舞台で、20年7月にソニー・インタラクティブエンタテインメントが発売したゲームソフト「ゴースト・オブ・ツシマ」の存在だ。

 「対馬に行きたいという若い人が増え、外国人の姿もよく目にするようになりました」。対馬観光物産協会の西護(まもる)事務局長(49)は、ゲームの影響力に驚く。

 ゲームは、対馬の民を守るため立ち上がった主人公が元軍に戦いを挑むアクションで、世界中で累計900万本以上を販売するヒット作となった。自身がファンでもある西さんは「映画のようなストーリーで主人公に感情移入でき、映像も映画のような美しさ」と魅力を語る。ゲームには対馬の地名や実際の景色に似た映像も登場する。

 対馬では「聖地巡礼」と称して、ゲームゆかりの地を回るファンも多い。五つある鳥居のうち二つが海の中にそびえる観光スポットの和多都美(わたづみ)神社もその一つだ。同神社そのものではないものの、ゲームには海に浮かぶ鳥居も描かれており、20年9月の台風で鳥居の一つが倒壊した際には、ゲームファンがクラウドファンディングで支援。500万円の目標に対して2710万円が集まり、翌年には再建を果たした。

 ゲームのヒットでテレビ番組や歴史雑誌などが相次いで元寇を取り上げたほか、ハリウッドでの映画化も計画されている。21年8月には同じく長崎県の壱岐を舞台にしたゲームの新作も加わり、壱岐に足を運ぶファンも増えているという。

 一方、ゲームの舞台になっておらず、直接的な恩恵を受けていない松浦市も、市内各所から伊万里湾にスマートフォンをかざすと、コンピューターグラフィックス(CG)で復元した沈没船が海上に現れる、観光客向けのアプリを製作するなど、「元寇の町」として地道なPRを続けてきた。松浦と対馬、壱岐の3市はいかりの引き揚げに合わせ、指定した元寇の遺跡を巡って応募すると、それぞれの特産品が当たるスタンプラリーを今秋から始めるなど、観光客誘致でも協力していくことにしている。

 松浦市教育委員会文化財課の山口哲広課長補佐は「調査の報告会も今年度内には開きたい。元寇への注目が高まる中、将来的な元寇船引き揚げへの機運を高めていきたい」と話している。【井上俊樹】

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220928/k00/00m/040/122000c?inb=ys


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