林芳正外相
韓国の朴振(パク・ジン)外交部長官は19日、林芳正外相と会って強制徴用被害者賠償問題に関連し、両国の企業が自発的に拠出した財源で被害者に代位返済(第三者が返済した後に今後債務者に求償権行使)していく方案を提案した。官民協議会で提示された意見を紹介する形を取ってはいたものの、事実上、徴用問題解決のための政府次元のドライブが始まったという分析だ。
朴長官はこの日午後、ニューヨークで約55分間林外相と会談を行った。朴長官はこの席で韓国外交部が4回にわたって行った強制徴用被害者賠償に向けた官民協議会の議論内容と今月2日に光州(クァンジュ)で被害者と会って聴取した意見などを共有した。
ある外交消息筋は「韓国政府は官民協議会がいかなる結論も下したことはないと言うが、事実上、大半の意見は両国企業の自発的参加で財源を用意し、これを被害者に支給するもの」としながら「朴長官もこれを林外相に伝達して次のステップの首脳会談へ移ろうとしている」と説明した。
朴長官はこの日の会談後、取材陣と会い、「いろいろと前向きな話を多く交わして(雰囲気が)良かった」とし「関係改善に向けて両国が誠意を持って努力することにした」と述べた。林外相も尹大統領が就任100日記者会見で関係改善の意志を表わしたことに言及して「肯定的に受け止めて歓迎する」と明らかにしたと日本メディアのTBSが伝えた。
ただし、代位弁済案はこれまで被害者が反対意思を明らかにしてきた。峨山(アサン)政策研究院のチェ・ウンミ研究委員は「法律的に問題がなくても被害者の心をつかむために政府が努力する過程が必要だ」とし「2015年12月の韓日慰安婦合意時のように政府が答えを決めて発表するのは後々禍根を残すためより慎重にアプローチしなくてはならない」と話した。国民大学日本学科の李元徳(イ・ウォンドク)教授は「日本はまだ韓国が提示した解決策が説得力に欠けるため首脳会談に消極的」と分析した。
米国ニューヨーク国連総会期間中、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と岸田文雄首相との韓日首脳会談が開催されるかどうかとその形式については霧の中だ。この日の会談後、朴長官は取材陣の質問に答えずに席を立ち、林外相は「何も決まっていない」と述べた。これに関連し、政府消息筋はこの日、「正式会談ではなく略式会談(Pull Aside)にとどまる可能性がある」と話した。