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【中韓】精巧に設計された中国の多者外交…韓国外交長官を厦門に呼んだ理由
鄭長官の最初の海外訪問地に中国を選択したことについて外交部は「今回の会談は韓米(3月17日)、韓露(25日)外相会談に続き、韓半島(朝鮮半島)周辺国との戦略的疎通を続けるためのものだ」と説明した。場所よりも均衡外交に傍点を打ったという説明だ。
会談場所の厦門は台湾の金門島からわずか35キロしか離れていない。台湾を挟んで米中が神経戦を続ける状況で、その象徴的な現場に韓国外交長官を招いたのだ。これを意識したかのように外交部関係者は「中国側がコロナ状況のため外賓を迎えるのが難しい北京ではなく、地方で会談を行うことにした」とし「両岸関係に関連する意図を持っているとは思わない」と話した。
しかし中国の最近の外交をみると偶然の場所選定ではないというのが、多数の専門家らの分析だ。王毅外相は22日からロシアと中東、東南アジア国家、韓国など11カ国と閣僚会談を続けている。ところが対象国と会談日、場所を見ると、精巧に設計されていることが分かる。
◆ロシア「重要な隣国」…反米協調を誇示
激しい舌戦が交わされた米中高官級会談の3日後の先月22、23日、王毅外相は真っ先にセルゲイ・ラブロフ露外相と会った。米国をはじめとする西側国家への共同対応を宣言したこの日の会談場所は広西チワン族自治区の桂林だった。桂林は地名だが、同じ発音の別の漢字で書けば「貴隣」という意味になる。
中国がロシアとの「反米協調」を誇示するための場所の選定だった。中国外務省がこれを直接明らかにしたことはない。その代わり国営環球時報がこうした意味を伝えた。両国外相は共同記者会見で「米国を筆頭とする西側国家の一方的な制裁措置に反対する」と声を高めた。
◆20年前に南シナ海で米中が衝突した日…東南アジア4カ国と会談
王毅外相は先月31日から3日間、東南アジアのシンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピンの外相と相次いで会談した。新華社通信は会談について「戦略的な意思疎通を強化し、地域の平和と安定を維持するための共同の努力の一環」と伝えた。南シナ海の領有権をめぐり米中の葛藤が続いている状況で、関連国と連鎖会談をしたのだ。
ところが今度は時期が絶妙だった。1日は、中国戦闘機が南シナ海上空で米軍偵察機と衝突し、中国側の操縦士が死亡してから20年目となる日だった。2001年4月1日、海南の南東側104キロの海上で米海軍EP-3偵察機が近隣を偵察していた中国戦闘機の殲(J)-8IIと衝突、中国戦闘機が墜落してパイロットのワンウェイが死亡した。会談日程を通じて中国が米国に向けて南シナ海領有権問題に対する干渉と妨害を容認しないという意思を明確にしたのだ。ワンウェイの所属部隊だった南中国海艦隊も追悼文で「中国海軍は絶対に歴史を繰り返さない」と明らかにした。
◆中東を引き込む…反米イランと長期協力
これに先立ち王毅外相は先月24日にサウジアラビア、25日にトルコ、26日にイランとアラブ首長国連邦(UAE)、27日にオマーンとバーレーンと、6カ国の外相と相次いで接触した。特に過去10年間にわたり高官級の訪問がなかったイランを訪問したのは、2018年にトランプ政権がイラン核協定を脱退して制裁を再開しながら生じたスキに食い込もうとしたのだ。米国との対話チャンネルを閉じている北朝鮮に対し、中国が間隔を狭めるのと同じ脈絡だ。
中国はイランと「25年間戦略的関係」という長期協定を締結し、イスラエルとパレスチナの交渉家の北京招請計画も公開した。浙江外国語学院教授の馬暁霖氏は中華圏メディア多維のインタビューで「過去の中国の外交で中東はほとんど見られなかったが、最近は主導権を行使しようとしている」とし「米国の圧力に対応するために、より一層強力な手段を採択している」と述べた。
王毅外相の会談過程から中国の外交アジェンダと優先順位も見えるという分析も出ている。膠着状態の韓半島非核化問題は、中国の立場ではやや後回しにするような印象だ。中国は非核化、対話、平和的接近という3大原則を守っている。米朝間の交渉が進展しない場合、中国も「静中の動」の立場を維持するとみられる。韓国が中国を動かすことができるカードは何か。韓中外相実務会談が南北関係を進展させることができるのかが試される。
中央日報 2021.04.03 10:55
https://japanese.joins.com/JArticle/277257