あわせて読みたい
【痛いニュース】「公務員がコンビニでソフトクリーム」←ツイートしただけで大炎上
「公務員がコンビニでソフトクリーム」――区役所に届いた理不尽なクレーム 職員の訴えに反響 | ニコニコニュース
めたごろー「こんなんであれこれ言われすぎw」
「職員がコンビニの前でソフトクリームを食べています」――。先日、東京都のある区役所に1本のクレーム電話が届いた。このクレームがあった事実をSNSで明かし、「昼休みだから問題ない」と訴えた区役所職員の投稿が、大きな反響を呼んでいる。公職に就く人々にことさら厳しい視線を向け、問題だとみなせば役所に“通報”する――。「公務員であればどんな要求を突きつけてもいい」といった、誤った考えを持つ人が一部にいる実態が浮かぶ。
「『職員がミニストップの前でソフトクリームを食べてます』ってクレームがあったけど、紅芋ソフトは期間限定で美味しいからいいんだよ(昼休みだよ)」
9月12日夕刻に発信されたTwitterの投稿には、同16日現在、5万6000件を超える「いいね」が押され、「休憩中に何を食べようと勝手」「どんどん食べてください」など、公務員を擁護するリプライ(返信)が多数寄せられている。
投稿したのは、東京都内のある区役所に勤務するTwitterユーザー「区役所の人@公務員」さん。取材に対し「投稿を広めてくださった多くの皆さまに対してありがたいと思っています」と話す。
●「昼当番」を終え午後1時から休憩
区役所にクレーム電話が入ったのは9月12日午後1時30分頃のこと。告げ口をするような口調だったという。職員が業務をさぼっていると勘違いしたのだろうか。
クレームを指摘された職員は、区役所の出先機関に勤務する投稿者の友人で、この日、友人は「昼当番」を終えて午後1時から休憩を取っていたという。
区役所では、正午~午後1時の来客に対応するために「昼当番制」を敷いており、時間をずらして昼休憩を取る職員がいるという。
友人は、テレビ番組で取り上げられていたミニストップの「プレミアム紅芋ソフト」を食べてみたかったと、投稿者に話していたという。
区役所では、こうしたクレームが入った場合、昼当番制で午後1時以降に休憩を取る職員がいる旨を説明するようにしているという。
今回、なぜこのツイートを発信しようと考えたのか。投稿者の「区役所の人@公務員」さんは、「昼休みくらい好きに過ごしていいんだよ」と、日々業務に励む公務員の仲間を慰労したい気持ちがあったと話す。
●「公務員にも感情があり、生活があり、不満があり、家族がある」
――今回のクレームについてSNSで発信しようと考えた理由を教えてください。ツイートからは理不尽なクレームに対する「怒り」や「嘆き」を感じました
投稿者: 私はこのアカウントを、事案の共有や情報交換、そして、日々の細々した業務に真摯(しんし)に取り組む全国の仲間たちを慰労するために設けました。
今回は、いわゆる「あるあるネタ」と「昼休みくらい好きに過ごしていいんだよ」というメッセージを込めてつぶやきました。ご指摘の通り、理不尽なクレーム、公務員を人と思わないような言いぶりは日常茶飯事で、若手や民間からの転職組は精神が消耗しています。住民の声を聞き、住民自治を支援する立場にある公務員ですが、こうした声にはとらわれなくていいのだという思いがあります。
――投稿に共感の声が多く寄せられています。反響への感想を聞かせてください
投稿者: 今回の反響には大きな驚きがあるとともに、広めてくださった多くの皆さまに対してありがたいと思っています。役所に行って窓口の向こうにいる人たちも、感情があり、生活があり、不満があり、家族があるごく普通の人なのだと思っていただければ幸いです。
――今回の件以外に、過去に寄せられた理不尽なクレームがあれば教えてください
投稿者: 詳細は述べられませんが、「給料を差し押さえられたので職場に行くのが恥ずかしい。これは人権侵害だ」「駅の工事がうるさい」「隣の赤ん坊の声がうるさい」
「学校のプールの授業の音がうるさくて教室の生徒が授業に集中できない」「台風で雨戸を閉めると防災無線が聞こえない」「〇〇の給付金が遅い」
「今度の選挙に変な候補者がいてふざけているからやめさせろ」「衆議院選挙で〇〇代議士の選挙事務所を作るから急いでこれの建築確認をしろ」
「公園で子どもがボール遊びをしているのでゲートボールができない。子どもはボール遊び禁止のルールを守っていない」――など、たくさんあります。
最近では「救急病院に救急車がたくさん停まって迷惑だ」などの苦情もありました。
近年、民間企業で、顧客が従業員に対して悪質なクレームや不当な要求を突きつける迷惑行為が、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」として社会に知られるようになってきた。こうしたカスハラの被害は、民間企業にとどまらず、自治体など行政窓口でも増えている。
全日本自治団体労働組合(自治労)が2020年10~12月に全国の自治体職員ら約1万4000人に実施した調査では、過去3年間にカスハラを受けた経験があるとの回答は「日常的に受けている」「時々受けている」を合わせ46%に上った。「自分はないが職場で受けている人がいる」も30%だった。
具体的なクレームの事例は(1)暴言や説教(63.7%)(2)長時間のクレームや居座り(59.8%)(3)大声・罵声・脅迫や土下座の強要(52.8%)――などと続いた。
日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)が2021年12月に発表した、国家公務員1400人を対象にした調査でも、悪質なクレームなどの迷惑行為を受けた経験がある割合は、60.3%に上った。
国公労連の調査に寄せられた記述からは、カスハラの生々しい実態が浮かぶ。
・「職員の面前で書類を粉々に破かれ、床に投げ捨てられた」(30代女性)
・「名前・顔などの個人情報をインターネットに晒すと脅された」(30代女性)
・「『市議会議員に知り合いがおるから、お前の身分なんかどうとでもなるんや』という脅迫めいた言動があった」(40代男性)
・「『ガソリンもってそっちに行く』と脅された」(50代男性)
●公務員は「私生活を犠牲にして当たりまえ」?
国公労連は、民間企業をはじめ社会でカスハラが深刻化する背景として(1)過剰な顧客至上主義のまん延(2)デフレとともに進んだ商品価値以上のサービス(付加価値)の恒常化(3)コロナ禍をはじめとするストレス・格差社会の長期化(4)SNSなど匿名性の高い情報発信ツールの普及――などを挙げる。
また、公務の現場では「過剰な人員削減が行政サービスの低下を招き、ささいなミスをきっかけに国民の怒りを誘発している」側面もあるという。
国公労連の笹ヶ瀬亮司・中央執行委員は「いまだに『公務員=公僕』という国民のイメージがあることも否定できない」と指摘する。「コンプライアンスは社会全体で順守すべきものであるため、法令上の根拠もなく公務員に要求するようなことが根絶されるよう、実効性のある啓発などが推進されていくべき」だと訴える。
今回、SNSに投稿した「区役所の人@公務員」さんも、公務員への悪質なクレームや、理不尽な視線が後を絶たない理由について、こう話す。
「努力専念義務や公僕などの言葉が誤って広まったためだと考えています。『身を粉にして、私生活を犠牲にして、自分たちのためにすべてを投げうって当たりまえ』という認識の方がいると考えています」
●“身バレ”を防ぐための「隠語」も
長年、区役所に勤務しているという「区役所の人@公務員」さんも、住民からの不当な要求を数多く経験し、目撃してきた。クレームを訴える側も感情的になっているから「本心ではない」と考え、「気持ちを引きずらないようにしてきた」と振り返る。
不用意にクレームを招かないよう、庁舎外では特に注意を払うという。コロナ禍以前、同僚らと店舗で飲食などをする際は、公務員であることを悟られないように、職場にあたる役所のことを「うちの会社」「わが社」、区長のことを「社長」などと言い換えて会話していたという。
「行政として規制する立場にあることや、身分保障が強いと認知されていることから、われわれも監視されていると思っています」(「区役所の人@公務員」さん)
不当なクレームから職員を守るため、各自治体では条例を制定したり、マニュアルを作成したりするなどの対策を進めている。
奈良市では2007年に条例を制定。悪質なケースは、対象者の氏名を市のWebサイト上に公開している。
07年の制度開始以降、指名を公表したケースは1件。不当な要求にあたるかどうかは線引きが難しい側面もあるという。警察とも連携し、悪質な要求に対して職員がどう対応すればいいか研修を実施するなどしているという。同様の動きは、全国の多くの自治体に広がる。
大阪市では今年3月、長年にわたり暴言や苦情を繰り返した男性に対し、市が面談の強要禁止や損害賠償を求めて提訴している。
●社会に広く伝えたいこと
SNSへの投稿をきっかけに、改めてクローズアップされた公務員の働く環境。投稿の2日後、「区役所の人@公務員」さんは、反響への感謝とともに、自身も購入したミニストップの「プレミアム紅芋ソフト」の画像をTwitterに投稿し、「めっちゃウマいです」とつぶやいた。
あらためて、公務員への理解が広まるよう、世の中に向けて発信したい思いを聞いた。
――公務員の働き方に理解を広めるために、社会に向けて伝えたいことがあれば教えてください
投稿者: 些細(ささい)な事にいら立ち、腹を立てる背景には、その人自身に何らかの不満があると考えています。そして、不満をぶつける先に役所が挙がるということは、社会のほかのコミュニティで発散できないことが多いので、そうした方々の精神的な支えになっているのだと理解しています。役所なら自分の声を無視しない。公務員だったら自分の意見を尊重してくれる、そんな期待もあるのかもしれません。
行政は、言葉にならない言葉を、声にならない声を拾って、住民に寄り添う機関でもあるというのが私の考えです。
近年の公務員試験に合格する人たちは、学習面でも家庭面でも恵まれている人たちが多いです。しかし、高齢・障害・貧困により教育を受けられなかった・知的ボーダーなど、さまざまな理由でご自身の状態や意見を正しく誰かに伝えることが苦手な人たちもいます。
基礎自治体職員は、(彼ら/彼女らの)言葉をそのまま捉えるのではなく、背景や心情を考慮して受容・共感・傾聴し、住民の声として現場の最前線で、住民のアドボケイド(代弁者)であることを念頭に仕事をするとよいと思っています。