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元ロシア軍司令官「ウクライナによるハルキウ奇襲作戦は日露戦争の奉天会戦に匹敵する」
2014年の東部ドンバス紛争で親露派分離主義武装勢力を指揮した悪名高きロシア民族主義者イゴール・ガーキン元ロシア軍司令官は自身のテレグラムチャンネル(約53万5000人が登録)に「現在の状況を日露戦争になぞらえて表現するならば『奉天会戦』という言葉しか思い浮かばない」と投稿している。
1905年、旧満州(中国東北地方)の奉天(現在の瀋陽)で、満州軍総司令官、大山巌に率いられた25万人がアレクセイ・クロパトキン大将率いるロシア軍35万人を包囲しようとした。ロシア軍26万人が撤退し、日本軍が勝利した。死傷者は日本軍7万人、ロシア軍は捕虜を含め9万人にのぼった。日本海海戦とともに日露戦争全体で日本軍勝利の決め手となった。
イジュームからのロシア軍撤退についてガーキン氏は「最後の逃げ道が遮断の脅威にさらされている状況で完全に包囲されるのは犯罪に近い冒険主義だ」と理解を示す。
「性急な撤退は必然的に装備や兵員が大きく損なわれる。ロシア軍は必要な物資が極度に不足し、直ちに戦闘することができなくなるが、包囲を避ける撤退は戦略的に正しい」
しかし「戦線の広い範囲で深刻な作戦上の危機が続いており、それはすでに大敗北に発展している。いま実際、私たちにできることは、いかにしてこれ以上、敗北が深まるのを食い止め、作戦上の敗北が戦略上の敗北に転化するのを防ぐかということだけだ。主導権争いではすでに敵が勝っている」とガーキン氏は戦略的敗北を避けるよう求めている。
「ロシアは負けつつあるが、まだ負けてはいない」
ウラジーミル・プーチン露大統領は冬を前に欧州への天然ガス供給をシャットアウトし、欧州のエネルギー危機をさらに悪化させる作戦をとる。一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ジョー・バイデン米大統領の浮沈を決める米中間選挙、米欧の結束が乱れる恐れがある冬を前にヘルソン奪還とハルキウ奇襲という大勝負に出た。
兵站基地のクリミア半島を分断するヘルソン奪還作戦でロシア軍を南部に釘付けにし、手薄になったハルキウを奇襲で取り戻す作戦は奏功した。
「ロシアは負けつつあるが、まだ負けてはいない。戦争はすぐには終わらないという慎重さが求められる一方で、私たちの想定をはるかに超えるスピードでロシア軍の敗北が進む可能性もある」(フリードマン氏)
(木村正人)