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巨人大物OB「巨人はホームラン頼み。プッシュバント使え!」
巨人はホームラン頼みの攻撃。なぜプッシュバントをしないのか/廣岡達朗コラム
「オールスター打線」なのに、一時は気まぐれのように重信慎之介を二番に置いた。バスターエンドランを成功させたかと思えば、翌日にはバントに失敗して小フライを上げてしまうこともあった。選手が失敗したら首脳陣の責任と思うべきだ。
バントには芯に当てるバントと、芯を外すバントの2通りがある。これを頭に入れてゲームを見ると、バントの教えが浸透しているチームかどうか分かる。大抵の場合、コーチに教える能力がない。というより何をどう教えるべきか知らないのだ。
走者一塁、あるいは一、二塁になったときは相手守備陣がどういう隊形を取るか。その出方を見て、作戦を決めればいい。
一塁手と三塁手の両サイドが前に圧力をかけてきたら、バントでかわそうとするのはナンセンス。そこでわれわれが何をやらせたかというと、プッシュバントである。つまり、投手の足元を抜けばいいのだ。守備が“本職”の一、三塁が前に出てくればくるほどチャンスがあると考えるべき。プッシュバントで大切なのは芯に当てること。そうしないと投手をかわせない。センターに打つ感覚で、内野が芝の球場なら、マウンドと芝生の際(きわ)を狙えばいいのだ。
両サイドが中途半端にしか出てこない場合は、早い段階でいかにもバントをしますという構えを取ることで、両サイドをおびき出せばいい。そうやってチャージをかけさせたところでプッシュバントを決めれば、面白いようにヒットになる。
プッシュバントは西武監督時代の1982年、日本ハムとのプレーオフを前にした「江夏対策」として使った。江夏豊はピッチングこそ一級品だったが、守備に難があった。案の定、プッシュバントが功を奏し、リーグ優勝を決めることができた。
いまのプロ野球は1点を大切にする野球をしない。特に巨人はホームラン頼み。選手もいい格好をして、長打を打って大量点を取りにいく。しかし、走者一塁からヒットで一、三塁と都合よくチャンスを拡大できるほど野球は簡単ではない。だからバントで走者を二塁に置いて投手にプレッシャーをかけるのだ。
相手チームもなぜバントの裏をかかないのか。けん制球の精度を上げるなどつぶしにかかって、それでもバントを成功させられたら、相手を褒めてやればいいのだ。はなからどうぞと簡単にやらせてしまうのは私には理解できない。
西武が「黄金時代」と言われるチームを築けたのは1点を大切にする野球をやったからだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a74ffd3e8e53f88eb3554b84ed918e7e3455163b?page=2