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エンゼルス・大谷翔平WAR8・1でヤンキース・ジャッジに急接近 大混戦MVP争いの投票にも影響大
エンゼルス大谷翔平投手(28)が、MVPレースを激化させる1試合2発をマークした。タイガース戦に「3番DH」で出場し、3回1死二塁の第2打席で右越えに2ラン。7回無死の第4打席では左中間へ32号ソロを放った。最近7戦で5発と好調をキープする一方で、ア・リーグのMVPを争うヤンキース・ジャッジは3戦連発の54号。1歩も譲らない激戦が続いている。
ア・リーグのMVP争いが、大混戦となった。エンゼルス大谷は今季6度目の1試合2本塁打で、ベースボールリファレンス版のWARが8・1となり、54号を放った首位ジャッジ(ヤンキース)の8・4に0・3差と急接近した。
WARはWins Above Replacementと頭文字を取ったもので、直訳すると「代替選手から上積みする勝利数」。メジャー最低年俸程度の実力の選手(代替選手)を使った場合と比べ、何勝分をチームにもたらしたかを示す。近年の米国では野球記者にも一般化。MVP投票に大きな影響を与えている。
昨年のア・リーグは9・0で1位の大谷が、すんなりMVPに選ばれた。だが、ナ・リーグは7・6で1位のウィーラー(フィリーズ=最多イニング登板、最多奪三振で14勝)ではなく、5・9のハーパー(フィリーズ=OPS1位)が選ばれた。MVP投票は伝統的に野手が有利な上、印象度にも左右される。過去の例で最も議論になったのは12年。トラウト(エンゼルス)がWAR10・5だったが、同7・1ながら3冠王のカブレラ(タイガース)がMVPとなった。
大谷はWARで接近した上に、本塁打でもジャッジに次ぐ単独2位に浮上。OPSも・897でリーグ3位タイにつけた。投手としてもア・リーグ最高奪三振率の11・98で、防御率は5位の2・58。唯一無二の投打二刀流で、1900年以降の近代野球では初の規定投球回、規定打席の同時到達なら印象にも残る。それでも現時点で米メディアの報道量はジャッジの方が多い。大谷のMVP獲得は、ジャッジが61本塁打以下に終わり、WARでの逆転が望ましい。【MLB担当=斎藤直樹】
◆セイバーメトリクス 米野球学会の略称「SABR(セイバー)」と測定基準を意味するメトリクスを組み合わせた造語で、野球を客観的な統計データで分析し、選手の評価を行ったり戦術を組み立てる試み。メジャーでは浸透しているデータ指標。
https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/202209060000916.html