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【韓国】 政治的葛藤ばかり強調される韓日関係、共生の道を探すのが在日3世の私の役割、と西日本新聞記者
祖父の故郷は朝鮮時代にソウルから知識人が島流しにあった地域なので昔から教育水準が高く、儒教精神が深く身についたところだったという。幼い頃を思い出すと祖父は長男ではなかったが法事(祭祀=チェサ)を行っていた。幼い頃、身についた習慣を大切に思い、たとえ身体は日本にあっても心は祖国と結ばれていることを確認するために続けたようだった。
私も一緒に法事を行いながら私のルーツがどこか胸に刻んだことを思い出す。釜山(プサン)に派遣されてはや1年。日本に戻らなければならない時期になってしまった。コロナ19ウイルスが猛威を振るう中、2週間の自家隔離から始まった釜山生活は朝鮮通信使祭りをはじめとする行事が次から次へ取り消しになり、韓日友好を推進する団体の集まりもほとんど開かれなかった。
自由に人に会うことができず、取材も出来ずに心残りは率直にいってある。しかし、親しい釜山の人々の大きな助けを受けながら祖国に対して多くを習い、それなりに1年間過ごすことができた。心より感謝申し上げる。
韓日関係は政治問題ばかり目を引くが、互いに優秀な部分にも視線を転じなければなければならないと思う。韓日両国は高齢化と低出産問題や富の首都圏集中など同じ社会問題を持っており、協力すればより良い解決方案を用意できるからだ。
このように考える人々が増える契機を少しでも作りたくて、過去1年間、「K防疫」の成果や釜山市の地域貨幣である「冬柏銭(トンベクジョン)」等、日本が韓国から習うことができる分野を日本に紹介した。一方、このコラムでは日本の優れた自然災害対策などを扱った。
4月からは再び西日本新聞社に戻るが釜山はもう一生忘れることのできない「第2の故郷」だ。釜山で結んだ縁を惜しみつつ今後も韓日の掛け橋になる記事を書くつもりだ。それが在日同胞3世である私の役割だと考える。
過去の痛くて悲しい歴史を変える訳には行かないが、未来を共に作ることはできる。私は信じる。
釜山日報(韓国語)
http://www.busan.com/view/busan/view.php?code=2021032818073886531