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■実体経済の危機…対中貿易は転換点
前例のない貿易赤字を巡っては、「コロナによるサプライチェーン崩壊にロシアのウクライナ侵攻によるショックが加わり、貿易への依存度が大きく、外部の不確定要素に弱い韓国経済が直撃を受けた」という分析が聞かれる。液化天然ガス(LNG)、石油、石炭をはじめとする原材料の価格が急騰し、輸入負担が高まった状況で、輸出の道まで閉ざされれば、貿易収支の赤字基調から脱却する道筋が見えない。
8月の3大エネルギー源(原油・ガス・石炭)の輸入額は185億2000万ドルで、昨年8月(96億6000万ドル)の2倍に達した。エネルギー輸入の増加額は先月の貿易赤字の90%に相当する。エネルギーの国際価格が昨年の水準を維持していたとすれば、赤字は微々たるものだったことを示している。北半球が冬を迎え、エネルギー価格は一段高が予想されることから、輸入負担はさらに高まりそうだ。ソウル科学技術大の劉昇勲(ユ・スンフン)教授は「年初時点でMMBtu(英国熱量単位)当たり30ドル台だった北東アジアLNG価格指標(JKM)が先週時点で70ドルを超えたのに続き、年内にも100ドルまで急騰するとの見方が出ている」と指摘した。国際貿易通商研究院のチョ・サンヒョン院長は「金融部門から触発された過去の危機とは異なり、今回の危機は地政学的問題に端を発し、エネルギー、穀物、サプライチェーンなど実体経済に全方位的に影響を及ぼしている」と診断した。
輸出も不安感を増大させている。増加の勢いが鈍化しているうえ、最大の輸出先である中国向けで4カ月連続赤字となり、韓国の貿易構造全体を揺るがしている。延世大の金正湜(キム・ジョンシク)教授は「中国で稼いで対日貿易赤字を埋め、米国に売って黒字を出すというのが韓国の貿易黒字構造だ。中国で黒字を出せなければ赤字にならざるを得ない」と指摘した。
米国が中国産製品の輸入を締め付け、かつて中間材を中国に輸出した後、完成品を生産し、米国市場で販売していた国際分業構造が崩壊した上、中国の生産競争力が高まり、韓国製品の立つ瀬がなくなっているとの分析も示されている。チョ・サンヒョン院長は「中国では原材料や汎用半導体の輸入は増え続けているが、韓国製品の輸出は減っている」とし、「対中貿易が転換点を迎えている」と指摘した。8月の中国との貿易で半導体と無線通信機器の輸出はそれぞれ3.4%、14.1%減少したが、輸入は16.3%、3.8%増加した。
世界的に景気が同時に低迷し、輸出の割合が高い韓国が活路を探すことは容易ではない。現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「対中輸出が減り、赤字が続くということは、韓国の輸出不振を意味している」とし、「1-2年以内に東南アジア諸国連合(ASEAN)や米国など新たな市場を拡大することは現実的に難しいため、懸念が大きい」と述べた。