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優勝への必要項目は3つ? 大学ラグビー展望
https://news.yahoo.co.jp/byline/mukaifumiya/20220831-00312783
大学ラグビーのシーズンが間もなく本格化する。9月10日に関東大学対抗戦A(対抗戦、同リーグ戦1部(関東リーグ)がそれぞれ始まり、18日には関西大学Aリーグ(関西リーグ)が開幕。全国大学選手権への出場枠争いの火ぶたが切って落とされる。
出場枠はそれぞれ対抗戦で5、関東リーグで3、関西リーグで3。大会レギュレーションおよび前年度の成績に基づく。
■いまさら聞けない? 勝利の法則
ラグビーにおけるチーム力は、①設備やコーチングを含めた強化環境、②クラブ文化の質、③戦力との掛け算からなると考えられる。
これは、大学ラグビーにおいても然り。少なくとも、覇権争いというひとつの視点で分析すれば、必要項目は上記3点に集約される。
帝京大学が2009年から9連覇を達成したのは、まず①と②の領域で先駆者的な存在感を示しながら(①=食事を含めた肉体強化への注力、②=上下関係を最小化しながら勤勉さを重視)、結果を出す過程で③の領域でも他を凌駕するに至ったから。
帝京大学が天理大学に敗れて連覇が止まった2018年度は、明治大学が22年ぶり13度目の日本一を果たす。
今季のリーグワンでサンゴリアスのゼネラルマネージャーとなっていた田中氏は、サンゴリアスの採用やチームマネージャーを歴任するなかで元サントリー監督のエディー・ジョーンズ(現イングランド代表監督)の仕事ぶり、岩出雅之前監督率いる帝京大学の強さの秘訣、つまり高質な①と②のエッセンスに皮膚感覚で触れていた。
かねて③の戦力は充実しており、田中氏がヘッドコーチとして入閣する2017年前後から②の根本的な見直しがなされていたのも大きかった。
翌19年度に11季ぶり16回目の頂点に立った早稲田大学は、明治大学の復権に先んじて①を建て直していた。
■本命と対抗馬と
今季の覇権争いの軸も、前年度に10度目の選手権優勝を果たした帝京大学、帝京大学と同じ対抗戦勢の早稲田大学、明治大学となるか。いずれも、①②③すべての要素を高次で保っているためだ。
帝京大学では、1996年就任の岩出雅之前監督から相馬朋和新監督にバトンタッチ。さらに強力スクラムを支えた細木康太郎主将が抜けた。
ただし2018年度の全国高校ラグビーを制した大阪桐蔭高校の主軸が成長した姿で並ぶ。インサイドセンターの松山千大主将、スタンドオフの高本幹也副将(それぞれ4年)、フランカーの奥井章仁、フッカーの江良颯(それぞれ3年)の4名で、いずれも下級生時から定位置争いに絡んできた。
早稲田大学は、頭脳派で鳴らす大田尾竜彦監督体制2季目。こちらでもインサイドセンターの長田智樹(現埼玉パナソニックワイルドナイツ)、フルバックの河瀬諒介(現サンゴリアス)が卒業も、際立つキャラクターが複層的なアタック、独自のスクラムシステムになじむ。
ナンバーエイトの相良昌彦主将は苦しい局面に顔を出すタフガイで、爆発力とスキルが光る佐藤健次、高速展開と防御が際立つスクラムハーフの宮尾昌典は2年目にして学生界屈指の存在感を醸す。
明治大学では東京オリンピックを経験したウイングの石田吉平主将が抜群の突破力と求心力を有する。スクラムではプロップの中村公星(4年)、空中戦ではロックの山本嶺二郎(3年)、カウンターアタックではウイング兼フルバックの安田昂平(2年)と、多士済々のキャラクターがフィールドに違いをもたらすか。
もっとも夏場はコンディション不良により低調気味。台風の目と見られる筑波大学との初戦を乗り越えた先、上昇気流に乗れるかが注目される。
関東リーグ5連覇を狙う東海大学は多くの大駒が卒業で抜けるなか、一体感と防御への注力で初の頂点を狙う。もともと①②の領域がハイレベルで、今季はスタンドオフの武藤ゆらぎ(3年)、中川湧眞、岡村優太といった2年生の快速ウイングコンビをはじめ、3年生以下に目立つ存在がいるのが特徴的だ。
関東リーグの選手権出場枠には日本大学、大東文化大学などが名乗りを挙げそうだが、台風の目となりうるのは昇格したての東洋大学。明るい雰囲気とメンバーの個性、堅実な防御が光り、ロック兼フランカーの齋藤良明慈縁主将は攻撃時には柔らかいラン、守備ではタックルとリロードのスピードが目立つ。
■東高西低を壊す流れ
関西勢では、昨季4強の京都産業大学がひたむきさを保つなか、一昨季に初めて日本一になった天理大学がけが人の復帰を待ってさらなるボトムアップを目指す。
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