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甲子園チアのユニホーム、メルカリで28万円落札 法的な問題は? 弁護士に聞いた
今夏の甲子園大会で東北勢悲願の初優勝を収めた仙台育英高校。スタンドでのチアリーダーの応援も熱戦に花を添えたが、そのユニホームがネットのフリマサイトで28万円もの高値で出品され、即売されるという事態がネット上で話題となっている。球児たちの熱闘に水を差すような状況だが、法的な問題はないのだろうか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に聞いた。
「仙台育英チアのユニホーム一式セットです。3年間使用し、その後大切に保管しておりました」。大手フリマサイト「メルカリ」には、甲子園大会期間中から有名校のチアユニホームの出品が続出。ある出品者はユニホーム上下とインナー、アンダースコートなどのセットを送料込みで28万5000円と設定しており、すでに購入済みとなっている。他にも校名入りのチア専用バッグで20万円など、いずれも法外な価格設定がされている。
チアユニホームの出品は、フリマサイトが設ける規約違反には当たらないのだろうか。メルカリやヤフオクといった大手フリマサイトでは、ユニホームについては出品禁止物としての明記はないものの、着用済みのスクール水着や体操着、学生服類などは出品禁止としている。フリマサイトの規約について、正木弁護士は「学校名も入っていますし、社会通念上、制服に類するものとサイト側に判断される可能性は十分にあります。なかったとしても今後規約が変わる可能性もあり、そうなるとフリマサイトで出品することはできなくなります」と解説する。
では、法律上の解釈はどうか。1990年代に未成年の制服、運動着や着用済みの下着を販売するブルセラショップが社会問題となり、多くの地方自治体で青少年保護育成条例が制定。自治体ごとに多少の差はあるものの、古物商は未成年から古物を買い受ける事全般が違法となっている。一方、着用済みの下着等を除き、個人間であれば未成年からでも私物の売買に規制がないのが現状だ。
「古物商とは免許制で古物の売買を生業としている人のこと。現在、多く自治体の条例では、古物商でない人は買い取りが禁止されておらず、例えばツイッターなどを介して未成年から直接物を購入することも盛んに行われています。また、未成年であれば条例違反になりますが、今回のように、出品者が着用当時18歳未満であっても、18歳を過ぎた後に衣類等を売買するのは問題になりません」
ブルセラショップ全盛期の1990年代とは異なり、現在では、インターネットを通じて未成年から直接物を購入することが可能な時代。正木弁護士は「青少年の保護・育成の観点から、古物商に限らず一般の人も、保護者の同意がない限り、未成年者からの使用済みの物の買い取りを禁止するなど、時代に合った規制があってもいいのではないかと思います」と私見を語る。
ネット上で横行するチアユニホームの販売行為。学校や地域にとってみればイメージ低下も懸念される問題だが、当面は個々人のモラルに委ねるしかないのが現状のようだ。
ENCOUNT編集部2022.08.27
https://encount.press/archives/347112/