あわせて読みたい
【テロ賛美の韓国】 なぜ日本のマスコミは伝えなかった 尹大統領が「無差別テロリストの精神」を称賛…日本人2人が死亡、上海爆弾テロ事件
日本人2人が死亡した上海爆弾テロ事件
日本のマスコミは、なぜ伝えなかったのだろうか。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、光復節(8月15日)の記念演説の冒頭で述べたことを―。尹大統領は、1932年の上海爆弾テロ事件の実行犯である「尹奉吉(ユン・ボンギル)の独立精神」を称賛したのだ。
このテロ事件では、日本人2人が死亡し、5人が重傷を負っている。
尹大統領は、独立運動を「自由を求める精神に基づく」と規定して、「(独立運動は)韓国で現在も進行中」と述べた。そのうえで、「日本はともに力を合わせて進むべき隣人です」と。
こうした論理の組み立てを知れば、光復節演説に共感する日本人はほとんどいないだろう。
尹大統領は2021年6月、大統領選挙出馬を宣言する場所として、ソウル市内にある尹奉吉記念館を選んだ。父親(=元延世大学教授)は尹奉吉奉祝会の役員を務めた。
同姓・同族の英雄なら、無批判に信奉する韓国人はとても多い。しかし、尹大統領と尹奉吉は同じ「尹」姓でも、本貫(=伝説上の発祥地)が違う。別の家系だ。尹錫悦父子の「尹奉吉への入れ込み」は異様であり、その理由は謎だ。
安重根(アン・ジュングン)は、伊藤博文1人を狙った。尹奉吉は天長節(天皇誕生日)の祝典の演壇にいた多数の民間人も死傷させた。まさしく「無差別爆弾テロ」の実行犯だ。
安重根は一応、『東洋平和論』なる外国勢力の分析と対処を考えた論文を残した(これも思い違いした箇所が多いが)。しかし、尹奉吉には著作もないし、今日に語り継がれるような名言もない。
そうした人物の「精神」とは何なのか。「日帝に無差別爆弾テロをした」ことだけではないか。
その「精神」を、検事出身の大統領が公式の演説で称揚するとは、理解しがたい。日本のマスコミが、その発言を伝えなかったことも理解できない。
もしかしたら、尹大統領は「新たな尹史観」の定立化を目指しているのかもしれない。
前任の文在寅(ムン・ジェイン)氏は、産業化勢力(財閥)を「名前を変えた親日派」と規定し、「新たな主流」が彼らにとって代わるのは「歴史の正統性」だとする〝韓国型唯物史観〟を展開した。
これに対して、尹大統領は記念演説で、「自由民主主義の土台である経済成長と産業化を成し遂げる」勢力を、「現在も進行中の独立運動」の一翼に位置付けた。文在寅史観に対する明確なアンチテーゼの提出だ。
そうしたこともあろう。さらには慰安婦問題に何らの言及がなかったことに、韓国の左翼陣営は「尹非難」の姿勢を強めている。
尹氏が「もはや慰安婦問題は語る価値がない」との信念をもって、あえて言及せず、粛々と15年慰安婦合意の復活を進めるのなら、それは日本として歓迎すべきことだ。
しかし、そうではなさそうだ。
別の発言を見れば、尹錫悦グループは依然として「歴史問題の解決の前提は、日本の謝罪」とする立場を崩していないからだ。
もう一つの歴史問題である徴用は、現金化実行の日限が刻々と迫っている。韓国最高裁が政府の意見を聞き入れて控訴棄却の日取りを伸ばすとしても、時間的には切迫している。
尹大統領が光復節の演説で、この問題にまったく触れなかったのはなぜか。訪韓した米下院議長と会談しなかったのと同様に、「勇気があるか、ないか」の問題だろう。
「正義感あふれる優秀な検事」だった人物が、「暗愚の政治家」の烙印(らくいん)を押される日は近いのかもしれない。 (ジャーナリスト・室谷克実)
夕刊フジ
https://www.zakzak.co.jp/article/20220818-XHD6IDGTX5NSTDSKYHBRJGXKP4/