【芸能】劇団ひとり監督『24時間テレビ』SPドラマへの思い「無理やりドラマチックな話にしてはいけない」

【芸能】劇団ひとり監督『24時間テレビ』SPドラマへの思い「無理やりドラマチックな話にしてはいけない」

【芸能】劇団ひとり監督『24時間テレビ』SPドラマへの思い「無理やりドラマチックな話にしてはいけない」

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 お笑い芸人劇団ひとりが監督・脚本、俳優の浅野忠信が主演を務める、日本テレビ系24時間テレビ45』(8月27日・28日)のスペシャルドラマ『無言館』(8月27日 後9:00頃~)。撮影中の監督兼脚本を担当するひとりが、作品の作品の見どころや実力派キャスト陣について、スペシャルインタビューに応じた。

【写真】劇団ひとり監督の演出風景や浅野忠信の演技シーン

――今回、『無言館』を題材にしたドラマの放送を決めた理由を教えてください。
今回は、企画が決まっていない段階から作品に関わらせて頂いたのですが、プロデューサーさんから『無言館』についての説明を受けて、僕自身、とても興味がわきました。僕は『無言館』のことを知らなかったのですが、実際に画集を見せてもらって絵を見たり、美術館の建物の雰囲気も含めて、とても魅力的だなと思いました。

また、この企画を決めている時は、ちょうどウクライナの問題もあり、連日そのニュースばっかりで。僕みたいな世間知らずでさえ、戦争についてすごく考える機会があったことも影響していたと思います。ただ、主人公モデルとなった窪島誠一郎さんの著書を読むと、『無言館』を「反戦をテーマにした美術館にはしたくない」と仰っていて。絵と戦争は、直接は関係のないことだから、あくまで作品を楽しんでもらいたいと。「美談にはしないで欲しい」とおっしゃっていたので、ドラマも反戦をテーマにした内容にならないよう気を付けました。絵に向き合った画学生の思いや、絵を守ろうとするご家族の思い、絵を引き継ごうとする窪島さんや野見山さんの思いは、ものすごく美しいものだと僕は思ったので、極力その思いに焦点をあてて、脚本を書いたつもりです。

――脚本を書く上で意識したこと、特に注目してほしい所はどんなところですか?
主人公の窪島さんは、とても数奇な運命をたどられていて、ご両親のお話や、父親が小説家であることなど、過去にドラマにもなっているくらい凄い話なんですよね。でも、それを描いた上に、『無言館』設立のために絵を集めることを描くとなると、とてもじゃないけど2時間では描き切れないんですよね。なので、今回は『無言館』のみに焦点を当てて、窪島さんの過去のドラマチックな部分は、泣く泣く描かないことに決めました。そういう意味で言うと、戦没画学生の絵を大事にしている方々、その絵を預かりに行く2人に焦点をあてた、すっきりとした脚本になりました。

その中で、窪島さんの著書を読むと、窪島さん自身、絵を集めることについて、「何でこんなことをやっているのかよくわからない」という風に書いていたんですよね。でも、「何だかわからないけど、使命感みたいなものを感じる」と。「意味があってから動き出すのではなくて、やりながら自分自身で意味づけをしていく」という。そういった部分も脚本に反映させて頂きました。」

――主演を務める浅野忠信さん、寺尾聰さんなど、実力派俳優の演技を目の当たりにし、いかがですか?
脚本を書く段階で、ものすごく想像を膨らませながら、いろんな可能性を考えているのですが、やっぱり現場で役者さんが演じると、自分が想像していた以上のものが見られますよね。浅野さんはそれが多分にあります。そんなに長く見せるつもりはなかったのに、浅野さんの顔があまりにも心情を語ってくれるので、想定よりも長くなりそうだなぁ…とか、そういうことは多いですね。

今回も名優ぞろいなので、僕が「こういうお芝居をやってください」と押し付けるというより、微調整だけさせて頂いています。おそらく、皆さんの得意ジャンルであるお芝居を見せてもらっていると思うので、画に困ることはないです。逆にちょっと“寄り”のシーンが増えちゃう。ベテランの俳優さんは、カメラが寄った時の表情に、何とも言えない哀愁があったりするので。この作品は、役者さんの力が存分にみえる作品になっているのではないかと思っています。」

――実際に『無言館』に訪れて、絵を見た時はどう感じましたか?
絵は、日記や写真などとは違って、作品なんですよね。魂を込めて描くので、自分の分身のようなものなので、絵を目の前にするとすごく力を感じますよね。窪島さんの著書にも書いてあったのですが、絵を描いている時は、みんな絵を描くことがすごく好きで、喜んで描いている。戦争に行かなくてはいけないという気持ちもあるんだけど、絵を描いている時は、『絵を描くことが楽しくてしょうがない』という気持ちが伝わってくるって。そんな特別なものだからこそ、「頭を下げられても、この絵だけは渡したくない」という、ご遺族の思いもすごくよくわかります

なので、今回の作品の中で、絵をただの小道具にしてはいけないなと思っていました。ものすごい数の絵があるので、全てにスポットライトは当てられないですが、扱う絵に関しては、ちゃんとしたライティングでお見せしないと失礼に当たるな、と思いました。

――今回の作品の中で、最も大事にしたことはどんなところですか?
戦没画学生の作品を守り続けたご家族の思いや、絵を引き継ごうと思った窪島さん、野見山さんの思いですね。その思いとはとても尊いと思うので、ただこんな事実がありました、と並べていくのではなく、丁寧に描かないといけないなと思いました。無理やりドラマチックな話にしてはいけないな、と。ここでひと盛り上がり欲しいな、と思うことはあるのだけど、無理やり盛り上がりを作るのは、僕のゲスな思いのような気がしたので、なるべく純粋に、事実の輪郭をはっきりさせて視聴者に届けることが、僕らの使命なのかなと。

『24時間テレビ45』のスペシャルドラマ『無言館』の撮影現場より(C)日本テレビ

(出典 news.nicovideo.jp)

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