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「弔意の強制にあたらず」安倍氏国葬差止め、東京地裁が認めず…市民団体は怒りの即時抗告「裁判官もやめろ」
9月に予定されている安倍晋三元首相の国葬について、市民団体が閣議決定や予算執行の差し止めをもとめる仮処分を申し立てたが、東京地裁が却下した。これを不服として、市民団体は8月10日、東京高裁に即時抗告を申し立てた。
この日の申し立て後、記者会見を開いた市民団体のメンバーは「怒っているので声がでかくなります」と宣言したうえで、政権と司法双方に怒りをぶちまけた。
仮処分却下の決定を出した東京地裁の裁判官に対しては、8月15日にも罷免の訴追をするよう請求するという。
●東京地裁「申立ては不適法か、理由がない」
会見したのは「権力犯罪を監視する実行委員会」のメンバーら。国葬に関する閣議決定と予算執行の差し止めなどを求めて、7月21日に仮処分を東京地裁に申し立てた。東京地裁(向井敬二裁判長)は8月2日、申立ては不適法か、理由がないとして、却下する決定を下した。
8月10日は、もともと国葬の閣議決定取り消しなどを求めて提訴(本訴)する予定だったが中止。仮処分却下の決定を受けて、東京高裁に即時抗告することとなった。
●東京地裁「国葬は弔意の強制になるとは認められない」
決定の中で、東京地裁はまず、「もはや閣議決定の差し止めを求める申し立ての利益は存在しない」として、差し止め申し立てが不適法だとした。
さらに、「本件葬儀(国葬)が国葬儀の方式で執り行われるとしても、これにより、個々の国民に対して、安倍元首相に弔意を表すことや喪に服することを強制することになるとは認められず、とむらいの儀式に国民を強制的に参加させることになるとはいえない」と判断。
国葬に公金が支出されることで、「思想及び良心の自由が侵害されるということはできない」とも説明している。
そして、予算執行の差し止めについても、理由がないとした。
●「違憲にならないと憲法判断しちゃった」
「審尋(双方の意見を聞くこと)もなく、結論ありきで門前払いの決定」だと憤るのは団体の岩田薫共同代表だ。
東京地裁が、仮処分の段階で「思想及び良心の自由が侵害されるということはできない」とした点を「憲法判断を出しちゃった。遺憾だし予想外」とする。
メンバーは次々と不満を口にした。
「国葬問題は憲法で保障される思想信条の自由が侵害される。安倍政権への不信感を根拠にした国葬反対論もたくさん噴出しています」
「人は誰でも生きているうちに功と罪をなして死んでいきますが、いくら考えても褒めるところが見当たらない総理大臣ですね。そんな総理大臣を国をあげて国葬しようとしている政府や自民党はトンチンカン。もしもコロナ禍じゃなければ、集会・デモをしたら10万人が集まりますよ」
「仮処分の申立てにあたり、印紙代1人あたり2000円払ってるんですよ。それなのに門前払い。お金だけ必要で、やらずぼったくりだと個人的に感じてます」
●裁判を全国に広げていき、国葬が終わった後でも憲法判断を求める
抗告では、仮処分決定の取り消しとともに、国葬が憲法違反であることの確認をもとめる。
また、8月9日に別の団体が同じ趣旨で東京地裁に提訴したことを受けて、「実行委員会」は8月12日に、さいたま地裁と横浜地裁で、国葬に関する閣議決定の取り消しと、違憲確認をもとめて提訴する考えを明らかにした。
来週以降、大阪や北海道などでも裁判を起こしていき、国葬が終わった後でも司法判断をもとめて全国に運動を展開していくという。
さらに、8月15日には、今回の決定を出した東京地裁の3人の裁判官の罷免をもとめる。
「弾劾裁判所の裁判員は国会議員がつとめますので、野党の議員がどのような判断を出すのか興味深い。高裁には正しい判断を期待します。最高裁まで争います」(岩田共同代表)
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