屈強なキャラクターも多いこの作品ですが、そのなかでも最強クラスなのが魔界の名工ロン・ベルク(余談ですが、ロンが名前で、ベルクは流派名。ベルク流のロンという意味なのだそうです)です。ロン・ベルクは、中盤とはいえ、ダイとヒュンケルがふたりがかりでもあしらわれてしまうほど、圧倒的な実力を有しています。
このロン・ベルクは劇中で助っ人として、魔軍司令ミストバーンと戦います。両者の対決はクロコダインやチウが「次元が違う」と言うほどの速さで、ミストバーンが対応のため、足止めされます。ここで不思議なのは、ミストバーンは暗黒闘気流に覆われており、「空」の技以外ではダメージを受けないのではないかということです。
実際、ラーハルトがマァムやミストバーンと対戦した時は、攻撃がいくら命中しても効果がないという描写もなされています。攻撃に効果がないなら、長時間の足止めはできないはずです。
その答えは、ロン・ベルクが登場時に片手剣を地面に突きさし、闘魔滅砕陣を無効化したことにあります。ロン・ベルクは「生まれて10年で最強の剣術を極めてしまった」天才ですが、彼が極めたのは「魔界の剣術」です。
魔界での戦いは、おそらく闘魔滅砕陣のような暗黒闘気を使う技が多く見られるでしょうから、魔界の剣術にも空の技に似た対応手段があるということです。
実際、ロン・ベルクはミストバーンと長時間戦いながらも、暗黒闘気流で動きを制限されることもありませんでした。
ミストバーンはバーンパレスに戻る際に、ロン・ベルクに「怖気づいて逃げるつもりか」と問いかけますが、プライドの高いミストバーンが「そうとってもらって結構」とまで言います。そして「お前は大した男だ。もし全力で攻撃してきたら……これほど勝負は長引かなかっただろう」と、ロン・ベルクの実力を最大級に評価しているのです。
もしロン・ベルクが「全力」を発揮するとしたら、星皇剣を召喚して、空の技のような奥義を放つということでしょう。そうしても、ミストバーンの肉体は「凍れる時間の秘宝」で時間停止しているため、傷つけることはできなかったでしょうけれど、肉体を動かしている暗黒闘気の側が全て打ち払われてしまった可能性は否定できません。
そうなれば、大魔王バーンの秘密も明らかになってしまいます。ミストバーンの性格上、これは確かに「怖気づいて逃げても仕方ない」状況と言えます。魔界の名工ロン・ベルクはミストバーンにとって「相性が最悪」の敵だったということです。
マグミクス2022.08.06
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