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【経済】「韓国のAmazon」 ニューヨーク証券取引所に上場、時価総額9兆円 ソフトバンクグループ(SBG)が筆頭株主
終値で計算した時価総額は840億ドル(約9兆円)を超え、海外企業の米新規株式公開(IPO)としては、2014年の中国・アリババ集団以来の大きさとなった。
新型コロナウイルス禍でネット通販の利用が世界的に伸びており、投資家の成長期待は高い。
クーパンの上場初値は1株63.5ドルで、公開価格(35ドル)を81%上回った。投資家の買い意欲は強く、一時69ドルまで上昇する場面があった。
終値は49.25ドル。米運用会社ルネサンス・キャピタルのキャスリーン・スミス氏はクーパンについて「成長加速や利益率の改善が見込めるほか、他の電子商取引(EC)関連企業との比較で割高感はない」と指摘する。
米国株式市場では家庭用品通販のウェイフェアの株価が直近1年で約7倍、手芸品などを専門に扱うエッツィーが同4倍となるなど、EC関連銘柄が人気化している。
ネット通販はコロナ下の外出制限で急速に普及し、感染収束後も消費者の間で定着すると期待されている。クーパンもこうした流れに乗り、投資マネーをひきつけた。
上場時の資金調達額は35億ドル。米調査会社ディールロジックによると、21年の米IPOとしては最大となった。
調達した資金は、在庫管理と梱包・出荷を担う「フルフィルメントセンター」の整備にあてるほか、
料理宅配「クーパンイーツ」や動画配信サービスなど新規事業に振り向ける。
クーパンは10年に創業した。ECの巨人、米アマゾン・ドット・コムになぞらえて「韓国のアマゾン」とも呼ばれる。
国内に170カ所以上の物流拠点を設けてスピード配送を武器に急成長している。
20年の売上高は前年比約2倍の120億ドルだった。
物流・配送を自前で手掛けるため先行投資が重く、最終損益は5億ドルの赤字と、創業以来、赤字基調が続いている。
クーパンの筆頭株主はSBG傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドだ。
米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると保有比率は発行済み株式数の3割。保有株の価値は終値で換算すると約280億ドルとなる。
ビジョン・ファンドからクーパンへの出資額は計30億ドルで、上場によって多額の含み益が発生した。
英金融サービス会社グリーンシル・キャピタルへの投資失敗を「帳消し」にする成功案件だ。
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN11E190R10C21A3000000/