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元F1ディレクターのマシ氏、昨季最終戦レース後に「人種差別や暴言、卑劣な言葉。罵詈雑言の数々だった。殺害予告もあった」と明かす
発信地:シドニー/オーストラリア
https://www.afpbb.com/articles/-/3417023
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【7月31日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)でレースディレクターを務めたマイケル・マシ(Michael Masi)氏が、昨季最終戦で物議を醸す裁定を下した後、「卑劣な」中傷と殺害予告を受けたと明かした。
昨季最終第22戦アブダビGP(Abu Dhabi Grand Prix 2021)では、レッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)が最終周にメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)を抜き去り、F1史上最多となる8回目の総合優勝を阻止したが、44歳のマシ氏はその後にレースディレクター職を解任されていた。
マシ氏は31日付の豪紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)で、アブダビGP以降では初めてとなる本格インタビューに応じ、レース後に身の危険を感じたと明かした。そして「かなり暗い日々だった」と話し、「間違いなく、自分が世界で最も憎まれている男だと感じていた。殺害予告を受け取ったし、私と家族をつけまわすと言っている人もいた」とコメントした。
アブダビGPでは、マシ氏の決定で終盤にセーフティカーが導入され、その後にハミルトンとフェルスタッペンの間の周回遅れのドライバーがオーバーテークすることが認められた。これでレースは二人による残り1周の一騎打ちとなり、タイヤの新しいフェルスタッペンがその大きなアドバンテージを生かし、ハミルトンを抜いてタイトルを獲得した。
■「ショッキング」なメッセージの数々
デーリー・テレグラフ紙は、国際自動車連盟(FIA)との秘密保持契約があるため、マシ氏はこのときの決定について話すことはできないと伝えている。しかし本人によれば、レース後の数か月は地獄だったという。
「何百件というメッセージに向き合った」というマシ氏は、「ショッキングなメッセージだった。人種差別や暴言、卑劣な言葉。罵詈(ばり)雑言の数々だった。殺害予告もあった」と明かし、「メッセージは今も来続けている。私のフェイスブック(Facebook)だけでなく、リンクトイン(LinkedIn)にもだ。こちらはビジネス用の仕事のプラットフォームのはずだが、同じタイプの暴言が来ていた」と話した。
そうしたメッセージを無視しようとしたが、精神面に悪影響があったという。マシ氏は「専門医を受診して話すことはしなかった。今から振り返れば、行くべきだったのだろう」と話し、FIAも中傷のことは把握していたが、「彼らを含めた全員に対して、私はその影響を否定していたと思う」と続けた。
2019年にチャーリー・ホワイティング(Charlie Whiting)氏が急逝してからの3年間、F1のレースディレクターと安全担当者を務めたマシ氏は、約2週間前にFIAを離れた。
アブダビGP後のことについて、マシ氏は「すべてを消化するのには時間がかかった」と話しつつ、「しかし結局のところ、故郷へ戻って自分をサポートしてくれる人たちの近くで過ごすのが最善だと考えた」とコメントした。
FIAはアブダビGPの後、レースディレクターのプレッシャーを和らげる方策について発表し、またコミュニケーションの取り方も変えていた。(c)AFP