あわせて読みたい
【朝日新聞】福島県、これまで被曝の影響によるがんの増加は報告されておらず、今後も、増加が確認される可能性は低い 国連科学委員会
「福島県民がん増える可能性低い」 被曝線量を下方修正
東京電力福島第一原発事故の被曝(ひばく)による健康影響を評価した報告書を、原子放射線の影響に関する国連科学委員会が9日公表した。報告書は2014年以来。最新の知見を反映して福島県民らの被曝線量を再推計し、前回の値を下方修正した。これまで県民に被曝の影響によるがんの増加は報告されておらず、今後も、がんの増加が確認される可能性は低いと評価した。
科学委は欧米や日本など27カ国の科学者らで構成。世界中の論文を検証し、被曝による健康影響の科学的根拠をまとめるのが役割。報告書は世界の科学研究や各国の政策のベースとなる。1986年のチェルノブイリ原発事故では被曝の影響で子どもの甲状腺がんが増えたと結論づけた。
福島の14年の報告書では、データ不足のため、実際には流通していない汚染食品を食べたと仮定するなどして県民らの被曝線量を推計していた。今回は、事故後に流通した食品の放射能の実測値など19年末までに入手できた新しいデータを取り込み、実態に近い推計をめざした。
その結果、事故後1年間の甲状腺への平均被曝線量は、県全体の1歳で1・2~30ミリシーベルト、10歳は1~22ミリシーベルトと、14年の推計値の半分以下になった。14年は、80ミリシーベルト近く被曝した子が大勢いれば「がんの増加が統計的に確認される可能性がある」と評価していたが、今回は「放射線による健康影響が確認される可能性は低い」とした。
(略)
福地慶太郎、後藤一也
2021/3/9 20:00 朝日新聞
https://www.asahi.com/sp/articles/ASP395JSWP37UGTB00H.html?iref=sp_new_news_list_n