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山上容疑者の全ツイートに衝撃。ネトウヨで“安倍シンパ”、41歳の絶望
安倍元首相を銃殺した山上徹也容疑者(41)のものと思われるツイッターのアカウントが、7月17日に明らかになった。
一部のツイートはテレビ・新聞でも報道されているが、全ツイートを読んでみると、予想しなかった彼の心象風景がうかがえて、とても興味深い(7月19日現在、アカウントは凍結されている)。
もちろん彼の凶行は許されないが、読んでいて胸が痛む投稿も。一部で彼に共感する反応があることに危険も感じる。
いくつかの“特徴”をツイートと共に挙げてみよう。
「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」(2019年10月14日)で始まり、2022年6月30日まで続く、1363件のツイート。
(現在名称は「世界平和統一家庭連合」だが、ツイートに従って「統一教会」とする)
後述するように、“アンチ自民党”どころかネトウヨ的な発言が多いのだが、文章がまともなことに驚く。ツイッターは、罵詈雑言や陰謀論、誤字・誤用でメタメタなものも多いが、山上容疑者のツイートには、そういうものがほとんどないのだ。
奇妙なことに、山上容疑者のtwitterに安倍元首相に批判や憎悪をぶつける投稿はほとんどない。むしろ「アベガー」=アンチ安倍勢のツイートに、反論するケースが目立つのだ。(以下、「 」内は山上容疑者のツイート)
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・(他者の<伊藤詩織さんの話知ってて安倍政権を支持できる人は人間じゃない>とするツイートに対して)
「ところが安倍首相辞任に各国首脳から賞賛と惜別の声多数。BBCで放送されて『知らなかった』もないだろう。世の中そんなもん。1イシューで動くのは限られた人間だけ。」(2020年9月23日)
・「自民党が完全無欠とは全く思わないが #自民党に殺される なんて言ってる連中の傲慢さ、不誠実、真摯さの欠如を見ると野党に投票する気が本当に失せる。奴等が本当に破壊したいのは自民党ではなく自民党を支持した国民だという事を嫌でも思い出さざるを得ない。」(2020年11月15日)
・(安倍政権の対ロシア外交を批判する弁護士のツイートに対して)
「下らないねえ。安倍の味方する気もないが、(中略)当のウクライナですら開戦数日前まで「侵攻はない」と言っていた戦争の数年前に行った友好的外交の責任を取れと。安倍憎しの最初にありきが見え見えの愚論」(2022年3月23日)
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山上容疑者は、2020年9月2日には、安倍首相(当時)の写真を見て、「写真が統一教会の大会そのもの。どこまで入り込んでいるのか…」とツイートし、両者の“関係”を知っていたはず。また、2021年9月、教会の関連団体「天宙平和連合」に安倍首相が寄せたビデオメッセージで犯行を決意した、と供述しているという(これに関するツイートはない)。
ところが、教会との関係を知った2022年3月時点でも、上のように安倍元首相を擁護しているのだ。
事件当初、「“サヨク”の安倍叩きに影響された犯行」と言う識者がいたが、これは全く的外れだった。山上容疑者はむしろ、“反サヨク”である。
◆家族との葛藤、自分を責める面も
父が自死、母が統一教会に巨額献金、病気だった兄も自死…。だが、一家を自己破産に追い込んだ母を責めるというより、家族を救えなかった自責の念もかいまみえる。
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・「三人兄妹の内、兄は生後間もなく頭を開く手術を受けた。10歳ごろには手術で片目を失明した。障碍者かと言えば違うが、常に母の心は兄にあった。妹は父親を知らない。オレは努力した。母の為に。」(2019年12月7日)
・「最も救いがないのは、母を殺そうとした祖父が正しい事だ。オレは母を信じたかった。それ故に兄と妹とオレ自身を地獄に落としたと言われても仕方がない。」(2019年12月7日)
・「これで自分が札付きの不良でもあったなら自分が悪かったと思いようもあるが、健気にも母親を支えようとするよく言えば優等生的、悪く言えば自我の希薄な子供だった自分からすれば悪夢としか言いようがない。」(2020年12月11日)
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◆パッと見、ネトウヨのような発言
山上容疑者のアカウントだと知らなければ、「よくいるネトウヨ」に見えるだろう。反韓やミソジニー(女性嫌悪)のツイートも多い。
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・「ネトウヨとお前らが嘲る中にオレがいる事を後悔するといい。」(2019年12月7日)
・「世はヘイトだ差別だ喧しいが、統一教会というものを知れば知るほど、その異常性の発生源に民族から切っても切り離せないもの、民族性と言うしかない物が通底している事に気付くだろう。」( 2019年10月14日)
・「在日差別に反対する場合に最も必要なのは、明確に韓国・北朝鮮と対決する姿勢。もはや友好国ではなく敵国なのだという認識。」(2021年12月28日)
・「オレは物言う女が気に食わないのではない。『女に対する侵害だから他の事は捨象する』みたいな風潮が著しくアンフェアだから言ってる。」(2021年4月1日)
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統一教会を生んだ国だからといって、韓国自体を憎むのはやはり歪んでいる。
また、フェミニズム的な言説にもいちいちカラむ。41歳・独身の山上容疑者は、家庭崩壊で今まで恋愛どころではなかったのかもしれないが、その鬱屈を「女性」全体に向けているように見える。
◆「誰も助けてくれない」という孤立感
統一教会についてかなり調べている山上容疑者は、被害弁護団などの支援活動も知っていたのではないか。2004年には、ある相談機関にメールを送っていたという報道もある。だが、ツイートからは、孤立感を深めていった様子がうかがえる。
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・(統一教会2世=信者の子=が辛さを告白したツイートに対して)
「2世の苦しみか。 実に下らない。親を殺してニュースになる2世が現れて統一教会の名が出れば許してやろうかとも思うが。」(2021年5月18日)
・(友人の自死を嘆くツイートに対して)
「誰にも助けられない問題はある。どこまでも個人が背負うしかない問題。アイデンティティの問題。それこそが尊厳。」(2021年5月1日)
・(コロナ禍でうつ状態になった大学生の記事に対して)
「言っちゃ何だがオレの10代後半から20代初期なんかこれ以下だよ。社会問題として支援が呼び掛けられる様は羨ましいとすら思う」
「正直に言うと震災の時すらそう思った。肉親を失い生活基盤を失い病むのは同じでもこれだけ報道され共有され多くを語らずとも理解され支援される可能性がある。何て恵まれているのだろう、そう思った」(2021年2月28日)
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コロナ禍や災害に比べて、宗教団体への献金は「自らやっている」と自己責任論でかたづけられやすい。その中で、山上容疑者は「誰も助けてくれない」という思いを募らせていったのかもしれない。
◆『ジョーカー』への共感
山上容疑者は当初、韓鶴子・世界平和統一家庭連合総裁の殺害をくわだてていた。その来日前日に映画『ジョーカー』(2019年10月4日、日米公開)を見たらしく、ツイートでも何度か『ジョーカー』に言及している。
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・「オレがJOKERを観たのは鶴子がやって来る前日、名古屋でだった」
「コロナ渦でjokerも隔世の感がある。今年はおそらく鶴子は来ないだろう。それはオレにとって吉か凶か」(2020年8月12日)
・「原作やダークナイトの純粋な『悪』というジョーカーから考えるとアーサーはジョーカーではない、というのはあり得る。彼はジョーカーに扮した後でも、自分ではなく社会を断罪しながら目に浮かぶ涙を抑えられない。悪の権化としては余りにも、余りにも人間的だ」(2019年10月16日)
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韓鶴子総裁は、2019年10月5〜6日に名古屋で行われた教会イベントに参加、山上容疑者は「火炎瓶を持って会場に行ったが入れなかった」と証言しているという。その前日というから、既に犯行を決めて名古屋入りしてから、『ジョーカー』を公開初日か2日目に見たわけだ。
この映画は、親や社会から徹底的に踏み付けにされたアーサーが、悪の権化ジョーカーに変貌するまでを描いた傑作だ。「目に浮かぶ涙を抑えられない」ジョーカーに、山上容疑者が深く共鳴したことがうかがえる。
ちなみに、2019年10月5日の教会イベントでは自民党の細田博之現・衆議院議長らが祝賀スピーチを行い、6日には日本の地方議員約200名が出席したという(現代ビジネス、2022年7月14日)。
◆教会は山上家に「哀憐の情」
世界平和統一家庭連合は、献金は自主的なものというスタンスで、「魂の救済を本旨とする宗教団体の立場からは、山上家庭を襲った悲劇に対しては哀憐の情を禁ずることができません」 とホームページに記している(2022年7月17日)。
今回は速報的にツイートの紹介をしたが、そこに表れた心理や問題について専門家に話を聞いてみたい。彼のように絶望した人が、凶行に至る前に踏みとどまるためにも…。
<文/日刊SPA!取材班>
山上容疑者が手紙&SNSに綴った「母と安倍氏への意外な感情」(FRIDAY) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース |
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