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【芸能】ゴミ清掃芸人・滝沢秀一 子どもへの“ゴミ教育”で考えた「捨てたくなるゴミ箱」とは?
UNIVERSITY of CREATIVITY(UoC)の近藤ヒデノリ(Hide)と平井美紗(Misa)がお届けするinterfmの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。
7月13日(水)の放送では、お笑い芸人でゴミ研究家の滝沢秀一さんがゲストに登場。ゴミを減らすために必要な考え方について語ってくれました。
1998年に漫才コンビ「マシンガンズ」を西堀 亮さんと結成。お笑い芸人として活動しながら、2012年よりゴミ収集会社で清掃員としても勤務しています。環境省のサステナビリティ広報大使に就任し、6月30日には書籍「すごいゴミのはなし ゴミ清掃員、10年間やってみた。」(学研プラス)が発売されました。
◆子ども向けのゴミ教育を構想中
Hide:ゴミ清掃員を始めたのは奥さんの出産がきっかけと聞きましたけど?
Hide:今、収集されているのは一般ゴミのほうですか?
滝沢:粗大ゴミも収集しています。
滝沢:すごいものというか、数なんですよ。まずは、自転車をなんとかしないといけないなって思っているんですよね。
Hide:そうですよねえ。
滝沢:毎日30台とか40台とか。素材の鉄などは資源ゴミになるからいいのかなと思いつつも、処分される自転車の数自体がものすごいんですよ。
Hide:先日、産業廃棄物の工場に見学へ行ったんですけども、たしかに自転車がたくさん積まれているのを目にしました。
Hide:タイヤとか、ペダルのプラスチックの部分とかを分解、分別しないといけないから、大変らしいですね。
滝沢:分解って話で言うと、ベッドマットは分解できないので粗大ゴミになるんですよね。内部のスプリングやフレームなどの鉄が取り出せないんですよ。
Misa:たしかに。
滝沢:砕くこともなかなかできないので(そのままの状態で)埋め立て地に埋めたりするんですよ。
Misa:え~!?
滝沢:あとは垂れ幕も。塩化ビニールだから燃やせないので、埋めるしかないんですよね。一方、垂れ幕をバッグに加工する取り組みも出てきています。
Hide:そうですね。そういうアイデアに繋がると、ゴミも少なくなりますよね。
滝沢:僕は10年間ぐらいゴミ清掃をやっていますけども、何が原因でゴミが増えるかっていうと、あいだに立つ人がいないからだと思うんです。食品ロスもたくさん出ていますが、その食品が欲しいっていう方もたくさんいるわけです。
Misa:そうですよね。
滝沢:欲しがっている人はいるけど、あいだにきちんと立って橋渡しをする人がいないから、いいサイクル、いい循環が生まれないんですよね。
Hide:海外だと、廃棄食品で作るレストランがあったりしますよね。
滝沢:そういうことを、もっともっとやれるといいですよね。たまに僕も食品ロスランチとかをやったりするんですけども、やっぱり手間はかかるなぁと実感します。でも、まだまだやれることってあるんじゃないかな。
僕は子どもに「ゴミ教育」をするのが1つの夢だったりするんですよ。ゴミ先進国のスウェーデンなんて、保育園の頃から分別の教育が始まっているでしょう?
Hide:そうらしいですね。
滝沢:それを僕もやりたいんです。僕も考えたんですけど、「分別をやりましょう」と言ってもなかなか話を聞いてくれないから、紙芝居を作ったんですよね。主人公がウミガメなんですけど、「最近お腹が痛い」と言い出すと、ペットボトルのモンスターのペティが出てくるんです。
Misa:うんうん。
滝沢:ペティはペットボトルを食べるモンスターで、ペティの絵を貼ったゴミ箱に子どもたちがペットボトルを捨てると「モグモグ」と音が鳴るっていうような仕掛けを作っています。
滝沢:子どもたちは喜んでペットボトルを捨てるんですけども、今度はペティが咳き込んでペットボトルの蓋とラベルを吐き出すわけです。「キャップとラベルは食べられないんだよ」ってペティが言うと、みんなちゃんと分けてくれるんですよ。
Misa:へええ!
滝沢:こういうことをもっとやろうかなって考えています。「捨てたくなるごみ箱」っていいんですよね。
Misa:たしかに!
◆3Rから4Rの考え方へ
滝沢:僕ら、清掃員は危険にさらされることが多いんです。もちろん捨てる方は意図しているわけではないんですけど、(ゴミ袋を)持った瞬間に竹串とかが突き出てくることがあるんですよ。
Misa:怖い!
滝沢:捨てたらそれで終わりだと思ってしまうんですよね。誰が回収するのかということまでなかなか考えなかったりする。働いている姿とか清掃車とかは毎日のように見るんだけど、実は何をやっているのかっていうのはあまり知られていないんですよね。
Misa:そうですよね。
Hide:子どもは廃棄工場の見学に行ったりして、小学生の方が3R(リデュース、リユース、リサイクル)のことを知っていたりするんですよね。
滝沢:いいですね!
Hide:小学生の方がしっかり学んでいるんだなって思いましたが、たしかに清掃員の方々の実態ってそこまで知られていないですよね。
滝沢:そうなんですよね。僕はいろんな講演会で言っているんですけども、3Rを4Rにしたいんです。
Hide:もう1つのRは何ですか?
滝沢:「リスペクト(Respect)」なんですよ。尊敬する、敬意を払うって意味ですね。「誰かが回収してくれている」って思うことがリスペクトに繋がりますし、そういう気持ちが大事だなと思っています。
Hide:本を出版されたりと活動の幅は広がっていますが、他にもやりたいことはあったりしますか?
滝沢:僕の目標は「日本のゴミを減らす」ことなんですけども、今のシステムでは限界があるとは思っているんですね。なので、商品や製品を作った会社がある程度回収できるようなシステムを作るといいのではと思っています。
Hide:たしかに。
滝沢:ヨーロッパにある考え方なんですけど、容器などを回収するシステムを作ると、プラスチックの容器とかに対して「借りているもの」という感覚を人々は持つそうなんです。飲み物をおいしく飲むために今は容器を借りていて、最終的には返すものなんだっていう意識が芽生えているんですよ。企業も今はゴミを減らしていく努力をされているので、そのような流れができて、人々の意識が定着していくとゴミも徐々に減っていくようになるのかなって思います。
Hide:そうなってくると、法律で義務化するといった流れが大事になってきますよね。
滝沢:そうですよね。それから、今、問題視されているのはモバイルバッテリーなんですよね。リチウムイオン電池で、電子たばこや携帯の充電器といった、あらゆるところに使われているものです。これが1日に何件も事故が起こるんですよ。ちょっと圧縮されるだけで燃えるんです。そのときに火が出なくても、数十分後に燃えたりもします。
Misa:ええ!?
滝沢:先日、所沢のゴミセンターでいろいろなお話を聞かせていただいたんですけども、そこは何か事故があると全部のシステムが止まる設計になっているんですね。「今日で8回目だよ。原因は全部モバイルバッテリー」とスタッフの方から聞きました。ベルトコンベアのところで燃えたことで、修繕費に1億5,000万円かかったそうです。
そう考えると、回収の仕組みに関しても、法律なりを整えていくことが大切なのかなって僕は思います。
◆“顔が見える社会”にしていくことが大切
Misa:それでは最後に、番組恒例の質問に答えていただきます。滝沢さんにとって、ワクワクする社会創造のタネって何ですか?
滝沢:僕は「人と人との繋がり」だって思いますね。先ほど食品ロスの話もしましたけども、あいだに立つ人がいれば、ゴミはなくなってきたりすると思うんです。あとは、人と人が対面で会うと、いろんなことが発展してくるんですよね。「これとこれが掛け合わせられるな」みたいな発想も生まれてくるし。
Misa:うんうん。
滝沢:僕は「滝沢ごみクラブ」という、オンラインコミュニティを運営しているんですけども、「こういう発想はなかったな」と思うものに出会ったりするんです。意見交換をすると、どんどん広がっていく。やっぱり、人と人が繋がることで“顔が見える社会”が生まれ、あらゆる可能性がどんどん出てきますよね。
Misa:そうですね。
滝沢:これだけゴミが多いのは、人の顔が見えない社会が形成されているというか、効率を優先させることで人の顔が見えにくくなっているんじゃないかって感じます。清掃員の顔も、作った人の顔も見えない。人の顔が見えないと生産者を応援したり、商品を購入したりしようなんてなかなか思わないですよね。人と人とが繋がることがこれから大事なキーワードになると思います。
次回7月20日(水)は、フードデザイナーの小枝指来実(こえさし・くるみ)さんがゲストに登場します。お楽しみに!
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聴取期限 2022年7月21日(木)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:hhttps://www.interfm.co.jp/mandala