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【芸能】トイレから異臭のする部屋、血痕が染み付いた家…14軒の事故物件に住んだ芸人が明かす「いわくつき物件」の実態
「入居初日に意識を失う」「留守電にゴボゴボと…」事故物件に住み続ける男が味わった“不気味すぎる現象” から続く
事故物件に住み始めて今年で10年になる。
現在14軒目の物件を借りているところだが、10年経って気づいたことがある。それは、事故物件だからと言って必ずしも心霊現象が起きるわけではないということ。
そもそも人が死んだ場所なんて、人類誕生以来あらゆる土地がそれにあたる。
ではなぜ事故物件はこんなにも忌み嫌われ、心霊現象と結びつけられてしまうのか。そして心霊現象とはいったい何なのか。今まで住んできた物件とそこで起きた現象を照らし合わせて検証してみたいと思う。(全2回の2回目/前編から続く)
8軒目:大阪(孤独死)
築50年、11階建マンション
2DK 6帖6帖
家賃3万1000円(元々は6万2000円)
高齢者がトイレで孤独死した部屋。発見された時には腐敗が進んでいた。
最初は嫌な気持ちで用をたしていたが、おばあちゃんの匂いに次第に慣れていき、コロナ禍の中ではトイレに行く度に自分の嗅覚を確かめることができて安心した。
9軒目:沖縄
築2年、5階建マンション
1K 6帖
家賃5万5000円
この部屋は事故物件ではないが、マンションの周囲が墓に囲まれている。むしろ墓があった場所の上に建てられた可能性あり。
【実際に起きた現象】
・面識のないユタ(沖縄の民間霊媒師)に「ここに住み続けると病気になって事故に遭い、人気がなくなる」と言われる
沖縄の現地の人はこういった場所にはそもそも近づかず、何も知らずに住むのは本土の人間たちなのだという。
10軒目:沖縄
築30年、10階建マンション
3LDK 13.5帖6帖6帖
家賃5万3000円
沖縄で有名な通称「おばけマンション」。かつては1階から3階にかけてが廃墟だった。上からいるはずのない人間が落ちてきたり、日本兵が歩いたり、女の霊が徘徊していた、など噂は絶えない。
【実際に起きた現象】
・睡眠中に破裂音のようなラップ音が鳴り、その瞬間、寝たままの状態で頭を1分間左右に振り続けていた
寝ている間の出来事なので、カメラに映っていただけで自分では自覚がない。残念ながらコロナ禍の状況で沖縄にはほとんど行けず、毎日この部屋で過ごしていれば自分自身の変化を記録できたのかもしれない。
11軒目:東京(行方不明)
築年数不明、2階建アパート
1R 4.5帖 風呂なしトイレ共同
家賃3万円
前入居者は5年前から失踪し、東北で遺体となって発見された。天井に穴が空いている。リフォームなし。
【実際に起きた現象】
・部屋に行くと必ず体調を崩す
ホコリとカビの影響は間違いなくある。人間は菌やウイルスなどの見えない小さな異物には成す術がないことがよくわかった。衛生管理は大事。
12軒目:大阪(自殺)
築2年、13階建マンション
1K 8帖
家賃3万8000円(元々は7万6000円)
前入居者がクローゼットで首吊りした部屋。その後発見が遅れ、遺体は腐敗。クローゼットの前方のフローリングが剥がされている。
【実際に起きた現象】
・入居初日に生配信をすると開始直後に洪水のような音が流れ、自分の声が延々リフレインする状態になった
・午前1時を過ぎると腐敗臭がする
インターネット配信の不具合は、もしかしたら電波状況や配信設備など、何らかの偶然が重なって起きてしまった可能性はある。それ以降行った生配信はいずれも不具合なし。逆に、なぜ最初だけおかしくなったのかは気になる。
13軒目:東京(自殺?)
築30年、4階建マンション
1R 7帖
家賃3万2000円
これまで6人が亡くなっているマンション。死因は孤独死、突然死、殺人、自殺、自殺、自殺。借りた部屋は女性が自殺した部屋の可能性があったが、確定ではない。
【実際に起きた現象】
・ドアをノックされるが、開けても誰もいない
・上は屋上なのに天井から足音
・猫の鳴き声のような、女性の話し声のような音が一定時間聞こえる
天井から足音が聞こえるのは不可解ではあるが、壁が薄く、各部屋の生活音や下水管の音も頻繁に聞こえることから、それらの音を天井からの足音と錯覚してしまった可能性はある。だが、ノックされて開けても誰も居なかったのは、ベタにゾッとしてしまった。わざわざイタズラでノックされるとは考えにくい。
14軒目:東京(殺人)
築30年、2階建一軒家
5DKK
家賃8万円
弟が兄を殺害し、その後自害した家。玄関とリビングには血痕が残っている。
【実際に起きた現象】
・今のところなし
こうして見ると、明らかに不可解な現象というのは数軒でしか起きていない。それ以外だと、物理的要因や思い込み、あるいは偶然の重なりであることが多いように思う。
しかし、だとしても何らかの現象をこれだけ挙げることができてしまうのは、そこが「いわくつき」の部屋であることを認識して住んでいるからである。
人がそこで死んでいるから、何かが起こるに決まっている……「家鳴りが鳴った! これはラップ現象だ」「体調が悪い! これは霊に取り憑かれているからだ」「インターネットが繋がらない! これは霊に邪魔をされているからだ」などなど……。
きっと、何のいわくもない部屋なら、ラップ音が鳴ろうが体調を崩そうが、部屋のせいにはしないはず。人がそこで死んでいるから、わざわざ他愛もないことを心霊現象と結びつけてしまうのである。
ただ同時に、過剰な「気のせい」だけでは説明できないこともある、ということもご理解いただきたい。
自分の部屋で起きる“何か”に注意を向ける
さて、今回もっとも言いたかったことは、事故物件だから“何か”が起きるわけではないのではないか、ということだ(起きやすい可能性はあるのかもしれないが)。むしろ、何もいわくのない部屋だと思っているからこそ、まだ気づけていない現象も存在するかもしれない。
私の部屋は事故物件ではないから、僕の家は大島てる(事故物件公示サイト)に載っていないから大丈夫、とお思いの方はたくさんいらっしゃるだろう。しかし、大丈夫だと思っているからスルーされてしまっている不思議な現象も、もしかしたらあるのではないか。
もし幽霊が本当に存在して、何らかのアピールをしているのであれば、その存在に気づかれないことはきっと寂しいことだろう。たまには事故物件以外でも、自分の部屋で起きる“何か”に注意を向けてみるのもいいのではないだろうか。
(松原 タニシ)