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【社会】「ウクライナ避難民」親子が群馬の滞在先から失踪、支援制度悪用か 「避難民を装って日本に入国するケースも出てきている」
複数の関係者によると、2人は50代と30代の親子とされる。ウクライナ支援に取り組む伊勢崎市内のNPO法人が窓口となり、隣国ポーランドを経由して5月14日に日本に入国した。男性は同NPOを通じてボランティアで2人の身元保証人となり、渡航費約30万円を立て替えたほか、滞在先として渋川市内の建物を提供した。
政府はウクライナ避難民の査証(ビザ)申請手続きを大幅に簡略化し、「短期滞在」(最大90日間)の在留資格での入国を認めている。希望に応じて1年間就労が可能な「特定活動」に切り替えることができるため、短期滞在で入国したとみられる2人からも、切り替えの申し出があることが想定された。
身元保証人の男性が、その手続きに加え、渡航費や生活費などを支援する財団法人への手続きの際にも必要となるパスポートの提示を5月19日に求めたところ、2人は拒絶し、突然滞在先から姿を消したという。連絡を受けた渋川市職員が同日、市内で2人を保護した。
別の関係者によると、2人はその後、東京近郊などに滞在し、6月に帰国したとみられる。この関係者は「2人とみられる人物がSNS(ネット交流サービス)に上げた画像を見たが、東京近郊で観光を楽しんでいる様子だった。本当に避難民だったのだろうか」と首をかしげる。受け入れ窓口となったNPOの代表者も「身元をしっかり確認しておらず、名乗っていた名前が本名だったかも分からない」と打ち明けた。
避難民支援の募金活動などを行う渋川市も2人の支援に取り組む構えだったが、同市総合政策部は「市は直接受け入れに関係しておらず、女性2人のプライバシーもあるため、コメントはできない」とするのみだ。
ウクライナ避難民の受け入れを巡っては、各地でもトラブルが起きているとの情報がある。15年以上にわたってウクライナとの交流を続けてきた「日本ウクライナ文化交流協会」(大阪府八尾市)の小野元裕会長は「本当は観光が目的なのに避難民を装って日本に入国するケースも出てきている。ロシアの侵攻によって避難してきたはずなのに、3カ月後の帰路の航空券を用意していたという例も珍しくない。受け入れ側は本当に避難民かどうかを確認する必要がある」と指摘する。
2022/7/15 03:00 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20220714/k00/00m/040/152000c?inb=ra