沖縄県の「コロナ感染拡大警報」が発令中の石垣市で13日、前日の最多327人に次ぐ259人の感染が確認された。今月5日以降、連日の100人超えとなる。患者の治療に当たる県立八重山病院は一般外来の診療を制限するなど医療が逼迫(ひっぱく)する。病床使用率は100%を超えている。一般病床を減らしての対応を模索するが、県病院事業局は「このままではどこかでパンクする」と危機感を募らせる。一方で島には観光客が戻り、さまざまな行事でにぎわう。「ウィズコロナ」の在り方に、市民からは賛否の声が上がる。(八重山支局・粟国祥輔)
八重山病院の病床使用率は112・9%で、前日の143・4%から改善したものの、なお100%を上回っている。主に中等症以上の患者を受け入れる重点医療機関で、高齢者の入院が多くなっているという。
感染急増で、11日から一般診療を制限する。12日には患者4人、職員2人のクラスター(感染者集団)が確認された。県病院事業局によると、医師や看護師は次から次へ患者の対応に追われる状況で「休む間がないほど大変。相当慌ただしい状況だ」と説明する。
感染者が増え続ける場合に備えて病床追加の検討に入ったが、「一般患者を犠牲にしないといけない。どこかで医療が持たなくなる」と窮状を訴えた。
病院から少し離れた市街地では対照的な光景が広がる。腕や足など肌を露出した観光客であふれ、コロナ前をほうふつとさせる。
「会員ホテルの中に感染者が出ている所はあるが、業務への支障はない」。石垣市観光交流協会の鈴木信高事務局長はそう説明した上で懸念も示す。近く共催イベントを予定しており、「開催に影響がないか不安。国や県が急に強い措置を出したら困る」。
ある飲食店の従業員(38)は現状を意に介さない。ワクチン接種で重症化しないことを挙げ、「生活がある。風邪と一緒で付き合っていくしかない」と語る。
一方、感染拡大を受けて、今月に入り3度の休園を経て今も園児30人が休んでいる認可保育園。職員の男性(31)は「ウィズコロナも分かるが医療が逼迫している。行政は何らかの手を打つべきだ」と憤った。
沖縄タイムス 2022年7月15日 05:10
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