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にしたんクリニックが何故シント=トロイデンのスポンサーに? マーケティングの天才が思い描く日本サッカーの未来
にしたん。
力強い書体で、ひらがな真っ向勝負。アルファベット表記の[Nishitan Clinic]は、ロゴの下に添えただけ。黄色いユニフォームの胸部分に堂々と書かれた4文字には、特大のインパクトがある。
ただし、このシャツを着るのはベルギー1部リーグ、シント=トロイデンVV(STVV)の選手たちだ。おそらく日本人以外のプレーヤーや現地のサポーターにとっては、「にしたん」の4文字が何を意味しているのか分からない。クラブのプラチナスポンサー・にしたんクリニックの経営に関わる、エクスコムグローバル社長の西村誠司氏は笑顔で頷く。
「普通、スポンサーはユニフォームに企業名を入れることで広告価値を期待します。でもベルギーのスタジアムに、うちのお客さんになるような人はいませんから、まったく割に合わない(笑)。それでも、クラブを支援すると決めたとき、広告宣伝効果のリターンは考えなかったんです。カッコつけて言うと、スポンサー料は“まるまる捨ててもいいや”ってくらいの思いで」
STVVをスポンサードするきっかけ
スポンサードのきっかけは、昨年秋に訪れた。目の前に座るSTVVの立石敬之CEOに、こう語りかけられた。
「日本代表の中心選手の多くがヨーロッパでプレーしています。10代の選手や、プロサッカー選手になりたい子どもたちが欧州を目指す上で、STVVはその入り口として大切な機能を果たすクラブです。西村社長にお願いしたいのは、一つのチームを強くするためではなくて、日本サッカー界全体を強くするための支援なんです!」
その熱に心が動いた。実際に冨安健洋が、遠藤航が、鎌田大地が、STVVでの成長を経て、欧州各国の強豪クラブへと飛躍している。日本代表で中心的役割を担う彼らの姿を見て、支援を決めた。