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元首相を銃撃したのが元自衛隊――。6日からスタートした防衛省全面協力のドラマ「テッパチ!」(フジテレビ系)の雲行きが怪しくなってきている。安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人未遂容疑で逮捕された山上徹也容疑者が、過去に海上自衛隊に在籍していたからだ。これによって〝自衛隊協力〟と打ち出しにくいムードになっており、フジテレビは頭を抱えている。
陸上自衛隊を舞台にした「テッパチ!」(水曜、午後10時)は、主演が町田啓太、ヒロインは元乃木坂46の白石麻衣。初回(6日)の平均世帯視聴率は7・6%だった。2ケタには届かなかったが、「水10」の前クールのドラマ「ナンバMG5」の初回の世帯平均が6・6%だったことを考えると、合格点と言えるだろう。
「テッパチ!」は町田演じる主人公が、高校時代ラグビーで活躍するもケガで挫折。卒業後、ひょんなことから陸上自衛隊の候補生になり、身を守る鉄帽「テッパチ」をかぶるにふさわしい自衛官を目指す物語だ。
同ドラマの最大の売りは何と言っても「リアル」だ。それが実現したのも防衛省が全面協力したから。現役自衛官もエキストラとして出演している。初回では戦車やヘリコプターがズラリと並んだ演習場のシーンがあり、その迫力に視聴者は驚かされた。
防衛省協力ドラマはこれが初めてではない。過去には航空自衛隊が協力した「空飛ぶ広報室」(2013年、TBS系)などがあった。「ドラマで格好良く描いてくれたら自衛隊のイメージアップとなり、応募者も増えるので協力してくれるのです」(テレビ局関係者)
イメージを上げることを目的として「テッパチ!」にも協力しているのだが、ここにきてイメージを大きく落とす事件が起きてしまった。安倍元首相銃撃犯が2002年から05年まで3年間、海上自衛隊に勤務していたことが明らかになったのだ。
このニュースが流れると案の定、SNSには「放送大丈夫かな」「打ち切りにならんといいが」などと先行きを心配する声が出ている。
安倍元首相銃撃事件を受けて、テレビにも影響は出ている。TOKYO MXやABEMAで放送・配信されているアニメ「てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!」は9日に予定していた第2話を取り止めた。大統領暗殺計画を阻止しようと奔走するという内容だったからだとみられている。
「『テッパチ!』は決して内容が問題になっているわけではないため、打ち切りなんてことはないです。ただ売りである自衛隊全面協力というのは打ち出しづらくなった。海上と陸上と違いはあれど、自衛隊に対して世間から向けられる目が厳しくなったことは確かだから。今後の宣伝計画に狂いが生じることは間違いありません」(フジテレビ関係者)
フジは6月末、港浩一氏が社長、大多亮氏が専務に就任。同局の全盛期のバラエティー、ドラマを支えた両人物が音頭をとり、本気で立て直しを図っている。7月期の連ドラでスタートダッシュと行きたいところだったが、不測の事態により修正を余儀なくされそうだ。(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)