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またしても抜かれた「波平」の髪の毛、法的責任は?
またしても抜かれた「波平」の髪の毛、法的責任は? | ニコニコニュース
東京・桜新町にある人気アニメ「サザエさん」の銅像。一家の大黒柱である波平像の「髪の毛」が何者かに引き抜かれていたが、6月8日午後までに修復された。
報道によると、商店街の人が6月3日朝、波平像の「髪の毛」がなくなっているのを確認したという。今回はワカメの髪の毛も抜かれていた。
とても悲しいことに、これまで波平の「髪の毛」は「6回」ほど引き抜かれてきた歴史がある。
桜新町商店街振興組合スタッフのツイートによると、商店街の会費を使って修理しているということだ。金額はざっくり「東京から新幹線で浜松に行けるくらい」。
JRおでかけネットで調べると、普通車自由席で7910円、普通車指定席で8240円、グリーン車で1万2100円となっている。いずれにせよ、手痛い支出といえるだろう。
警察への捜査は依頼しない方針のようだが、はたして、銅像から「髪の毛」を抜く行為は法的にどんな責任があるのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
●「器物損壊罪」にあたる行為だ
またですか・・・。こういうことは、誰も得しませんので、本当にやめてほしいですね。
まず、他人のものをわざと壊した場合、器物損壊罪(刑法261条)に問われます。
銅像は「器物」にあたりますし、銅像の髪の毛を抜く行為は「物の効用を害する行為」といえるので、器物損壊罪は成立するでしょう。
ただし、この犯罪は親告罪なので(刑法264条)、被害者(商店街)が処罰をもとめないと事件になりません。
ただし、軽そうに思える行為でも、犯罪にあたりうるということは認識してほしいです。
●「髪の毛」を抜く行為は不法行為にもあたる
器物損壊罪は「わざと」(故意)でなければ成立しませんが、民事上の不法行為責任は「うっかり」(過失)でも生じます。
今回のように、波平像の「髪の毛」を抜く行為は不法行為にあたります。したがって、商店街は加害者に対して損害賠償を請求することができます。
しかも、東京から浜松までの新幹線代くらいということなので、それなりの金額が請求できることになります。不法行為の場合、利息は不法行為のときから発生しますので、その請求もできます。
個人的にもセミナーで、磯野家を題材にすることが多く、愛着もあるので、余計に腹が立ちました。いずれにせよ、波平さんの大切な「髪の毛」にイタズラをしないでほしいです。
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。現在はXリーグ復帰に向けて日夜トレーニングに励んでいる。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/