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韓国海軍最新鋭潜水艦の技術が台湾に流出
▲韓国海軍の最新鋭潜水艦「張保皐(チャン・ボゴ)3級」が実戦中に作戦を展開する想像図。
韓国で軍事技術として保護されている海軍の最新鋭潜水艦「張保皐(チャン・ボゴ)3級」の技術の一部が台湾に流出した疑いが浮上し、警察は6日に関係者を起訴相当として検察に送致した。流出した技術は大宇造船海洋が保有している。同社は韓国海軍初の3000トン級潜水艦「島山安昌浩(アン・チャンホ)」など韓国の主力艦艇を製造してきた企業だ。
本紙が6日までの取材内容を総合したところ、軍事装備を無許可で輸出し、大宇造船の潜水艦技術を台湾の国営企業「台湾国際造船」に流出させた容疑で造船関連機材・資材メーカーA社の関係者6人を警察は今年3月に検察に送致した。6人の1人で潜水艦技術の図面の一部を持って出国し、これを台湾企業に流出させた疑いのある1人は身柄を拘束された状態で送致された。
警察によると、容疑者らは1500億ウォン(約160億円)で台湾企業の潜水艦建造プロジェクトに参加する契約を締結した。容疑者らはこのプロジェクトのために大宇造船の元潜水艦建造技術者を含む退職者らを採用し、うち20人以上を台湾に派遣して潜水艦建造に参加させる手口で技術を流出させたという。警察は容疑者らが技術を流出させた見返りとして受け取ったとみられる79億ウォン(約8億3000万円)について「起訴前の追徴保全」を申請し、すでに裁判所から認定を受けたことを明らかにした。
警察が6日に明らかにしたところによると、ソウルに本社を置き慶尚南道で事業を行っているA社は2019年ごろ、台湾が進める「潜水艦導入事業」に参加した。台湾は2025年までに独自技術による8隻の潜水艦建造を目標に事業を進めている。台湾が入札を通じてこの事業に参加する企業を募集する際、A社以外の他の企業も入札に参加したが、多くが途中で応募を放棄したという。現行法上、軍事技術や物資を輸出する際には韓国政府と韓国軍の許可が必要だが、台湾による今回の潜水艦事業への参加も技術流出に該当する可能性が高いということだ。
慶尚南道警察庁の捜査によると、A社は1500億ウォン規模の契約を締結し、2019年から最近まで大宇造船海洋の潜水艦事業部に勤務していた退職者15人を含む合計20人を台湾に派遣していた。警察は彼らが台湾南部の高雄にある台湾国際造船公社で潜水艦建造作業を行ったとみている。うち1人は大宇造船海洋から持ち出した潜水艦油水分離装置やバッテリー固定装置など核心部品の設計図面2種類を引き渡したことが確認されたという。警察は今年3月にA社の関係者6人を対外貿易法違反、不正競争防止および営業秘密保護法違反などの容疑で検察に起訴相当として送致した。うち設計図面を自ら持ち出し台湾に行ったA社代表の弟は身柄を拘束された。警察は現在、台湾に滞在しているA社の代表を指名手配している。
警察によると、彼らの一部は潜水艦を建造する際に使用される一部部品の現物を台湾に持ち出したが、その際空港では「海洋プラント建設に必要な風力部品」と虚偽の説明を行ったという。彼らは警察の取り調べに「最初は問題になるとは考えず事業に参加していたが、後から違法行為になる恐れがあることを知った。しかしやめることはできず仕事を続けた」と説明しているという。
彼らは1500億ウォン規模の契約を締結したが、技術流出の過程で発覚したため、実際に受け取った額は中間金に当たる640億ウォン(約67億円)だという。警察はそのうち技術流出の見返りとみられる約79億ウォンについて裁判所を通じて起訴前の追徴保全を行った。起訴前の追徴保全とは犯罪によって得られた金品の流出を防ぐ措置だが、これが産業技術流出事件に適用されるのは今回が初めてだ。
朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/06/07/2022060780048.html