「電力需給ひっ迫注意報」新設へ…揺れる電力問題に我々はどう対応すべきなのか

NO IMAGE

「電力需給ひっ迫注意報」新設へ…揺れる電力問題に我々はどう対応すべきなのか

TOKYO MX地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、“電力需給ひっ迫注意報”について深掘りしました。

◆警報に続き注意報を新設…ひっ迫する日本の電力

経済産業省は、電力需給がひっ迫して大規模な停電に陥る恐れがある場合、現在の「警報」に追加し、家庭や企業へ早めに節電を呼びかける「注意報」を新設する方針を固めました。松野官房長官は夏までに導入する予定としています。

電力ひっ迫時の対応を巡っては、今年3月、初めて警報が東京電力管内に発令。新たに注意報を設置し、ひっ迫の可能性を広く伝えることで早めに節電などの対策を促す狙いです。

なお、電力需要に対する供給の余力(供給予備率)が3~5%であれば注意報。3%未満であれば警報となり、ともに発令のタイミングはひっ迫が予想される日の前日の午後4時を目処とするということです。ちなみに、今年の3月に初めて警報が出されたときには、発令時間が前日の夜9時で「周知が遅い」との批判もありました。

現在日本は、地震や災害などのトラブルで発電所が稼働できなくなった場合をはじめ、エアコンの使用量増加などで、電力量が跳ね上がると即座に警報や注意報が発令される域に達してしまう、薄氷を踏むようなエネルギー環境にあります。そのため、原子力発電がやはり必要なのか、火力なのか、再生可能エネルギーを増やしていくべきなのか、さまざまな議論が交わされています。

こうした状況に対し、国立音楽大学3年生で環境活動などに取り組むFFFTオーガナイザーの黒部睦さんは、再エネへの切り替えを促すなかで、もはや節電が必要な程に日本の電力ひっ迫状況にあることに衝撃を受けたそう。また、そうした状況でありながら周囲の関心が低いと指摘。「ニュースでたくさん報道されていたが、学校で節電しようという動きや、お店に行ったときもそうした動きはそこまで見られなかった」と3月の警報発令時を振り返ります。

◆今夏・来冬の電力需給はどうなる?

経産省では今後の供給予備率に関する予測を算出。今夏(7月)は3.1%、来冬(1月)には-1.7%と試算されており、注意報や警報級のひっ迫度合いとなっています。

政府の対応としては、地域間で電力を融通する送配電網の拡充。再エネ発電の需給を調整する大規模蓄電池の整備。さらには、計画停電についての議論を進めるとしています。

これにNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは「対応になっていない。送配電網の拡充や議論というのは中長期的な話であり、この夏来るかもしれない電力のひっ迫には対応できない」と厳しい意見を送ります。

大空さんは、「今、すごく歪なことが起こっている」と指摘します。「化石燃料が高騰しているから、多くの商社やエネルギー関連企業が軒並み過去最高の利益を記録している」と話し、「その利益がちゃんと再生可能エネルギーに投入されていくのか、我々はしっかりと見ていかなくてはいけない」と注意を促します。そして、「確かに今はピンチだが、そこで得られている利益が間違いなくあり、それが次に繋がるようなものに投入されれば、良い循環が起こる可能性はある」と期待を寄せます。

◆電力がひっ迫する中で原発は本当に必要なのか?

電源構成比を見てみると、2019年度は石油や石炭などによる火力発電が約7割。

一方で、2030年度の見通しでは火力4割、原子力2割、再生エネルギー4割を想定。課題としては、発電コストや電力の安定供給が挙げられています。

ヨーロッパでも原子力の取り扱いは議論の最中で、一部では原子力グリーン電力の一部だという声もありますが、環境問題に取り組む黒部さんは「原子力は、核のゴミが出て水質も汚染するので、クリーンとは呼べない」と反論。

株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんは「ゼロヒャクの議論ではない。地味でも現実解こそ」と自身の考えを提示。「グリーンも大事であり、目指すべきだが、エネルギーの問題は確実にあるので、地味でもいいから現実解を出し、それに対して理解を深めていくことが重要」と言い、さらには「政府としてもグリーンへの投資を進めているが、それでもやはり化石燃料などを無視するわけにはいかないことも把握しないと、別のところで命が奪われてしまう」と危惧します。

そして、原発に関しては「僕はしょうがないと思っている」と理解を示します。「地震が多い国で原発は、と思いつつも、やはり日本はエネルギー源がない」とその理由を述べます。

対して黒部さんは「長期的に考えて、やはり再エネに変えていくのは大事」と意見します。その上で「原子力ももともと日本にあったものではなく、それも作ったわけで、今(電力が)ひっ迫した状況にあって、新しい社会システムに変えていかなくてはいけないときに、同じことを繰り返さないために、核を増やさないためにも、再エネを導入していくことが課題の解決にもつながるのではないか」と改めて原発に反対します。

すると古井さんは「政府も長期的には再エネを導入しようと進んでいるはず、そのスピードの問題」と互いの意見の接点を示すと、黒部さんも同意しつつ「危機感が足りないというのはすごく感じる」と政府の姿勢を牽制します。

キャスターの堀潤は、原発事故から太陽光パネル設置まで環境に関してさまざまな問題に取り組んでいますが、総じて「情報公開と対話の場が圧倒的に核と再エネに関してまだまだ不足している」と率直な印象を語ります。そして、そうした場や仕組みを作ることでエネルギー問題の着実な前進があると話していました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter@morning_flag

「電力需給ひっ迫注意報」新設へ…揺れる電力問題に我々はどう対応すべきなのか

(出典 news.nicovideo.jp)

<このニュースへのネットの反応>

続きを読む

続きを見る(外部サイト)

ニュースカテゴリの最新記事