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「ホンマに何もないで」中日・中村紀洋コーチのスッキリ顔が意味するもの 二軍配置転換で憶測呼んだが…
【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】足が勝手に鳴尾浜球場に向かっていた。先月27日のウエスタン・リーグ阪神―中日戦。そこに二軍打撃コーチに配置転換となった中日・中村紀洋打撃コーチ(48)が帯同していたからだ。
中村紀コーチと私は同じ昭和48年生まれでもあり、現役の近鉄時代から縁がある。立場的にベラベラ話せないのは重々承知だが、どんな表情なのかは気になっていた。
「おう、来とったんか。どうした?」
試合後、距離をとっての再会。その時の表情が意外にもスッキリしていたのが印象的だった。
無駄な言葉はいらない。今回の配置転換については「ホンマに何もないで。監督の言ってる通り。俺はそれに従うだけ。本当に真剣に選手たちに指導する。俺がやることはそれだけよ」。
本当に何もない? そういう思いも頭をよぎった。ただ、突っ込むのも失礼と考え、それ以上は聞かなかった。中日・立浪和義監督(52)が交流戦直前の同23日、中村紀コーチを二軍、波留敏夫打撃コーチを一軍に配置転換して以来、悶々としていた気持ちが少しは晴れた。
立浪監督は「これは内輪の話で、別に何か(中村)ノリに問題があったわけでも何でもない。今回はあえてコメントは差し控えさせてもらいます」と発信するにとどめてきた。それもあってか、周囲では臆測が飛び交う事態となっていた。
ただ、中村紀コーチからすれば4学年上の立浪監督は憧れの存在。PL学園から高卒1年目で遊撃のレギュラーを獲得し、新人王となったセンスの塊は今でも憧憬の対象だ。中日でチームメートとなった後も良好な関係を築き上げてきただけに、これで壊れるような人間関係ではない。
事情があるにせよ、立浪さんの言うことなら受け入れる。そんな背景がないとは言えないだろう。意気に感じて動く職人タイプのノリ。自分の仕事は変わらない。どんな立場でも立浪監督を男にするだけ。そんなふうに思っていると勝手に想像している。
☆ようじ・ひでき 1973年生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、ヤクルト、西武、近鉄、阪神、オリックスと番記者を歴任。2013年からフリー。著書は「阪神タイガースのすべらない話」(フォレスト出版)。21年4月にユーチューブ「楊枝秀基のYO―チャンネル!」を開設。