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「金正恩マスク」に今後は注目! 安っぽい不織布から見る北朝鮮物流のバロメーター
衝撃だったマスク姿のお披露目(北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記) (C)ロイター/EYEPRESS Images
北朝鮮の金正恩総書記が「建国以来の大騒乱だ」と色をなすほど深刻だった新型コロナウイルスの感染爆発がピークアウトに向かっているという。
感染者発生を公表したのは今月12日。にわかには信じがたいが、朝鮮中央通信は金正恩総書記が出席した朝鮮労働党の29日の会議で「全国的に感染状況が統制、改善されていると肯定的に評価した」と報じた。
「ワクチン未接種国」で、検査も治療もできないほどの物資不足なのに、一体どういうことなのか。
■新型コロナ7人に1人が感染
朝鮮中央通信によると、感染が疑われる発熱患者は28日夕までの1日で8万9000人超。新たな感染者が連日20万人を超えていた今月中旬と比べれば半減だが、4月末からの累計は344万8880人余りに達した。一方、死者数は26日までの累計で「69人、死亡率0.002%」としており、これまた信じがたい少なさだ。
在韓ジャーナリストの朴承珉氏は、感染拡大以降に指導部が在中国大使館などに打電した文書を入手。それによると、日中韓の感染状況や対策の比較、ワクチンや治療薬の効果に関する情報収集を求めたほか、幹部ら向けの高性能マスク調達を指示していた。慌てふためく様子が伝わってくる。
「金正恩氏については一昨年にワクチン接種済みともいわれていますが、真偽は不明です。もっとも、コロナ発生公表後に安っぽい色付き不織布マスクの2枚重ねで視察に出ているあたり、危機的な物不足がうかがえる。金正恩氏のマスクが高性能になるかどうかが、物流のバロメーターになるとも言えます」(朴承珉氏)
「北のファウチ博士」が大活躍
北朝鮮はワクチン供給の国際的な枠組み「COVAXファシリティー」によるアストラゼネカ製の供給を断り、米国の提供打診も無視。中国からは大量の医薬品を受け取り始め、そのうちのワクチンを金正恩総書記が下賜した「愛の不老不死薬」と銘打ち、建設労働に従事する軍人に接種しているという。
一般の人民向けは啓蒙キャンペーンでお茶を濁した。米感染症対策トップになぞらえ、「北のファウチ博士」とも呼ばれる国家緊急疫病予防対策本部のインテリ風幹部が毎朝テレビ出演し、日々の感染状況を解説。マスク2枚重ね着用やマメな消毒、ソーシャルディスタンス確保を呼びかけている。「コロナは風邪」で自力更生を強いるのか。
日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/305942